ゆみモン

女人の舘のゆみモンのレビュー・感想・評価

女人の舘(1954年製作の映画)
3.0
1954年作品。
読売新聞に連載された白川渥の原作を井手俊郎が脚色。春原政久が監督に当る。
北原三枝の日活入社主演第一作。

息子の周一郎が上京したあと、丹野家は丹野夫人(東山千栄子)、周一郎のいとこで許嫁の万津子(北原三枝)、画家の江木高代(水の江瀧子)、風巻シズ(関千恵子)、大学の研究室に勤めるインテリ南部光江(馬渕晴子)、婆や…と全く女だけになった。
或る日、周一郎の学校長の紹介で、瀬戸内海の孤島から来たという矢田八郎(三國連太郎)が2カ月契約で強引に住み込んだ。そこから様々な事件が巻き起こる…。

コメディタッチで物語は進んでいくが、そこには当節の諸問題をはらんでいる。
万津子は周一郎との結婚を、いとこ同士の結婚の遺伝学的な心配から諦めようとする。それに対して、丹野夫人は「当人同士が愛し合っていれば、断種してでも結婚すべき」だと言う。こういう、病気や障害をもつ子どもを産まないために断種するという優生思想?がまだまだ普通にあったのには驚いた。万津子は、丹野夫人が孫の顔を見たがっているのを知っていたこともあり、周一郎との結婚はやはり諦める。
また、光江の恋人が朝鮮人であり、光江は家族中から反対されているということ。…等など。

ラストは、万津子と矢田の将来に希望をもたせる描写で終わる。

北原三枝の凛とした美しさは見事だ。彼女のような人
をクールビューティーと言うのだろうか。それにしてもウエストが細くてビックリ❗
三國連太郎も、まだ顔の濃さがそれほどでもなくて爽やかなイケメンだ。