細谷しゅうへい

スモークの細谷しゅうへいのレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
3.8
見たことあるようで今まで見たことのないような不思議な映画だった。
多くの映画は訴えたいメインテーマや見せたいシーンがあって、そこに収束する形で映画を構築するものだけど
この映画はあえて作為的になることを避けているように感じた。
様々な人間の視点から会話がされてそれは例えば今年の『怪物』も同じような構成をしていたけど、あの作品は訴えたいテーマをより強烈に伝える為にあの演出がされていた。
しかしこの作品は会話がそれだけの意味に留まっていて良くも悪くもシンプルで飾りのないものだった。
セリフで語られた物語を最後のシーンでわざわざ映像にしたのは意見が分かれるのかもしれないけど個人的には最高に心が震えた。

オーギーとベンジャミンのセリフのやり取りは良かった。
自分の弱さや秘密を友達に伝えるって本当に勇気のいることだし、ベンジャミンの返答も良かった。
大切な誰かを失って悲しみに明け暮れて、それでもなお不器用にでも人を救って生きようとする人間は美しいな