犯罪を犯した女性を取材する社会学者が悪女に魅了されていく。ファムファタールにしては正真正銘の悪女すぎる。トリュフォーのコメディは毒が強いのにどこか気が抜けているところが好き。
あまりの悪女ぶりに次の展開が読めそうで読めない。ストーリーテリングのうまさはさすがのトリュフォーで、こんな悪女にバチが当たりますようにと願っても、憎まれっ子世に憚ってしまい、悪気なく悪事を重ねる悪自慢が凄まじい。
いわゆる女性版の天然たらしで、引っかかる方が悪いようにすら見えてくる。騙されても恨みつらみを言わない男性たち。
悪女演じるベルナデット・ラフォンの憎たらしいほどの鮮やかな軽妙さが魅力。先に観た『気のいい女たち』でも軽快に男性を手玉にとる役だった。健やかな色気がある。