A8

ゴーストワールドのA8のレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
5.0
全てがつまらなく感じていた“あのコロ”が全て愛おしく感じる。

映画の日ということで普段あまり行かない劇場へ!

高校を卒業して社会へ出たと言われてもあまりピンとこない、というか実感が湧かない主人公2人組。
世の中なんてつまらないモノばかりだ、アイツもそいつもみんなオモシロクナイやつ。
私は同じ価値観を持ってた親友と好きなように好きな世界で生きていくんだ!まるで一生続いていくような日々を。自由だ〜
だが、時計の針がただ無限に進んでいくように見えて、しっかりと変化は訪れるのであった。少しずつ、少しずつ、、誰も気づかないくらい少しずつ。そして、ある日気づくのである、みんな進んでいっていると、どこへかはわからないけど、前に進んでいるように思えるのだ、自分だけが取り残されたかのように。でも、結局は自分の主観に過ぎないのである。周りからみれば自分もちょっとずつ変化しているのだ、昨日の自分とは違う自分に。
主人公は10代後半、まだまだ将来どうなりたいかなんて決めてる最中。昨日思ってたことが今日は正反対なんて日常茶飯事だ。そうしていくうちに、あれれ、、本当の自分ってなんなんだ、、と。
この感情は、この作品にて主人公とよく連んでいた中年男性シーモアとの掛け合いをみてとてもわかりやすかった。
こいつダサいな→意外と性格合うぞ→相手に女性ができて嫉妬→好きなのかもしれない→やっぱり違う‼︎
振り回されているシーモアには気の毒だが、“若い感性”というのは、常に変化していくモノなのだろう。かっこよく言えば自分を探している途中なのかもしれない、、。
そうしていくうちに“本当の自分”かはわからないが、自分に合った“場所”をきっと見つけられるはず。興味を持ったその感覚を大事に大事に。失敗してもその糧を大事に大事に。
そして、周りなんて振り回すもんだ、、お互い様である。
全てを斜に構え、自分は特別だと思っていたあの時特有の感情をうまーく表現されてて、心にグサリ、グサリと刺さっていった。

激しい心の変化やぶつかり合い、一生変わることのないと思っていた存在が変化していく様、いまいる世界がつまらなく感じること、自分への過大な評価、周りへの蔑み、、、。この作品は、まるであの頃を等身大のように表してくれるかのようであった。そして、その自分を認めてくれるような気がした。とても愛おしく、個人的にブッ刺さるのであった。
最後のバスに乗る主人公がどこかプラトーンのラストシーンを観ている時と似ているような感情を持った。“アバよ!”つまらない場所からの脱出へ成功したのだろう。1人で生きるまだ弱い覚悟と希望溢れる未来にワクワクする気持ちは羨ましささえ覚えた。
さぁ、自分の人生を心の赴くままに、、夢がある場所へ。

高校から大学、そして就職するという道を選ばなかった全ての者へ。この映画を是非観てほしい。

時折挟まれるジョークは笑い必須。そして、主人公の毎回変わる個性的で鮮やかなファッションは魅力的!

自分の人生、自分が好きなように楽しまなくちゃ‼︎と思った!
A8

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