Jimmy

鬼の棲む館のJimmyのレビュー・感想・評価

鬼の棲む館(1969年製作の映画)
3.0
4人の男女を通した「煩悩地獄」。

冒頭、山中の森を一人の女が歩いている。楓(高峰秀子)という女。
南北朝の物語なので、高峰秀子が「羅生門の京マチ子風の姿」をしている。時代背景としては、京と吉野が争っている時代。
山奥の古寺を尋ねると、楓の夫=太郎(勝新太郎)が夫を奪った女=愛染(新珠三千代)と住んでいる。「夫を返せ」と迫る楓。
愛染は「太郎が私を離さぬのじゃ」と言い返す。
そうした状況で、一人の僧侶が夜露をしのがせてほしいと訪ねてくる。楓は、この僧侶(佐藤慶)に「本当の鬼が本堂で眠っております」と愛染のことを告げる。しかし、愛染は僧侶の昔の愛人だった。
太郎が僧侶を斬ろうとすると、僧侶の持っている観音像から強烈な光が発せられて、斬ることができない。太郎は「本当の上人様だ」と思う。
太郎の仇を討とうとして、愛染が色仕掛けで僧侶を誘惑する、僧侶は拒否する、しかし誘惑に負けて自殺する、と煩悩地獄にまつわる展開。

原作は谷崎潤一郎。

4人の男女の愛欲関係を通して、人間の業とは何か、を描いた作品。
三隅監督の独特な構図に感心した場面あり。
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