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折れた矢の一人旅のレビュー・感想・評価

折れた矢(1950年製作の映画)
4.0
デルマー・デイヴィス監督作。

アメリカの作家:エリオット・アーノルドによる1947年発表の小説「Blood Brother」をマイケル・ブランクフォートが脚色、多くの西部劇を撮ったデルマー・デイヴィス監督が演出した異色ウエスタンで、名優ジェームズ・スチュワートが平和のため奔走する主人公を好演します。スチュワートの人物造形は後にアーサー・ペン監督『小さな巨人』(1970)のダスティン・ホフマン等に引き継がれていきます。

1870年の米南西部アリゾナを舞台に、戦争状態が続いている白人とアパッチ族の平和の架け橋になることを誓った白人の男の姿を描いた作品で、インディアンを白人の安全を脅かす悪として描いた従来の西部劇とは明白に異なり、白人の男の説得により平和に舵を切ったインディアン側の視点によって白人とインディアンの平和の道を模索した西部劇の転換点ともなった名篇です。

復讐に次ぐ復讐で双方に死者が続発していた白人とアパッチ族の絶えない争いに、平和主義者の白人の男が平和への一筋の希望をもたらしていく異色の西部劇で、主人公とインディアンの美しい娘との異人種間恋愛のゆくえを作劇に織り交ぜつつ、白人とアパッチ族の平和条約に反発する勢力による妨害に耐えながらも平和を希求する人々の勇姿と成果を描いていきます。

時の大統領であるグラント政権が打ち出したインディアンとの和平政策を背景に、白人とインディアンの争いに一石を投じた白人の男の姿を描いた異色ウエスタンで、主人公の相手役を演じた撮影時17歳のデブラ・パジェットの可憐なルックス&インディアンメイクも見所となっています。
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