ちろる

贅沢な骨のちろるのレビュー・感想・評価

贅沢な骨(2001年製作の映画)
4.0
セクシャルなシーンは前面に出していない心理的な描写が中心なのに永瀬正敏がとんでもなくセクシーで、つぐみのセックスシーンが妙にエロいし、麻生さんとつぐみのキスもドキドキする。

2人だけの生活に突然男が介入してはじまる奇妙な三角関係。
映画なんだけど小説のような行間を感じてしまう。
そして後から思い出すと、ところどころのシーンがふんわりとまるで私自身の経験だったようにフラッシュバックしてくる不思議な映像たちが好き。

ずっと微睡んだ夕暮れ、目的もなくてただ目の前にある人間関係だけが生活の全てで。
でも人間関係に絶対なんてない。
人と人の間はいつも不安定で、変化して行くのに、パズルみたいにぴったり合ったと思い込んでしまったらそれを永遠にしたいと思い独占欲が顔を出す人間の愚かさよ。

描かれる東京の街は少しレトロな印象で、ネオンの明かりとか夕暮れの色とかどこかの綺麗なアジア映画を観ているような気分になっていた。
パズルのピースなんてほんとは存在しない。
人間はたった一人で生まれて一人で旅立つ。
なのにやっぱり心のどこかでそんな孤独は受け入れられなくてそうやって世界中にこんな風にドラマが生まれるんだろうな。

小さなミキサーに入れられた3匹の金魚か、いつ崩壊するのかドキドキしてた。
危うくて、虚しくて、少しだけ温かさもあるなんとも言えない後味が嫌いじゃない。
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