だいすま

ゆれるのだいすまのレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
3.8
たぶん15年ぶりの再鑑賞。
当時よりも歳を取った分、より深く理解出来たと思う。

真面目で誠実な兄(香川)は、東京で自由奔放に生きる弟(オダギリ)の事を可愛く思いつつも、田舎町で退屈に生きている自身と比較しどこかでずっと妬んでいたのだろう。
弟は兄を慕いながらも、また兄の気持ちを知りながらも幼馴染の女性を寝取ってしまう。どこかで兄を軽視していたのだろう。

橋の上からの幼馴染の転落事故。ここからぐっと物語が動き始める。
弟は兄を庇うが、兄はそれが偽善だと知っている。裁判で兄の供述が変わり、また証人として出廷する弟は最後に兄を裏切る。真実と異なる証言が採用され兄は有罪に。

本作はこうした兄弟の”ゆれる”気持ちを、吊り橋に重ね合わせ丁寧に描いている。
共に本音を隠しながら生きる息苦しさ。本当の兄弟になるために、彼らが背負った罪はあまりに大きかった。
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