AlexDaCorte

ゆれるのAlexDaCorteのネタバレレビュー・内容・結末

ゆれる(2006年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

タイトル通り、とても感情が揺れました。
30歳前後の兄弟の話で、ある日、兄弟と兄の同僚の女性(弟の同級生)の3人で、兄弟の想い出である橋にいきます。
そこで橋の上で兄と女性が揉め合い、女性が橋から落ちて亡くなります。
それを弟は目撃する。
「事故」か「事件」か、ここで話は進んでいきますが、結果ここの真意は最後までわからず、観る人に委ねられる形です。

兄弟の「ゆれる」感情が、ヒシヒシと伝わり、とても痛く切なく描かれ、感情以外にも葉っぱや洗濯物、色んな「ゆれる」が作中で表現されています。

僕も兄がいるのでわかりますが、自分だったらどうするのかと主人公の立場で考えさせられました。(自分の兄弟の性格も映画と同じで、兄は真面目で優しい人、弟はヤンチャ。)
兄弟は切っても切れない関係で、、

物語は裁判所へ進んでいき、初めはかばっていた弟も兄の変貌ぶりに、かばいきれず橋の下で観たことを話してしまい、兄は刑務所へ。

そして、兄の出所当日にたまたま母の遺産であるフィルムビデオを観て、当時子供だった兄弟の映像が写っていて、優しい兄の姿を観てしまい、
橋で起きたことは、実は兄が落としたのではなく、助けようとしていたのだと気づき、なんて事をしてしまったのかと号泣してしまいます。
慌てて刑務所に行き、道端のバス停で兄の姿を見つけます。
道路を挟んだ状態で、兄は弟に笑いかけ、弟は泣きながら兄を見ます。
ここでバスが来て、映画が終わります。
こういう終わり方するのは、ほんまにずるいです。笑

人はその時の自分の立場や環境、精神状態により、想い出が変換されるのだと思います。
映画の中で、弟が橋に行き、兄をかばう言動や行動がありました。あの描写はやはり、事故ではなく事件だったのではないかと思います。なので、実際は弟が裁判所で言ったことは間違いではなかったと。

バス停で、弟は一緒におうちに帰ろう!と叫びます。
僕はバスが出た時に、兄の姿はないと思います。兄が女性を故意で落としたのであれば、刑期7年は余りにも短く、殺された女性が不憫で、、、
前と同じ暮らしはできないと思います。まして田舎で、コミュニティーも狭く、住みにくいでしょうから。
なので、所縁のない土地へ旅立つのだと。

人を殺めてしまったあと、どうやって一生償っていくのか。何が正しいかはわかりません。その後の兄がどうなっていくのかも含め、いろいろと考えさせられました。
AlexDaCorte

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