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眠狂四郎 人肌蜘蛛のkojikojiのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 人肌蜘蛛(1968年製作の映画)
3.6
 この「人肌蜘蛛」で印象に残っているのは残念ながら剣客ではない。例によって狂四郎に興味を示す悪女。これまでのシリーズの中でも、ひときわ異彩を放つ「紫」役の緑魔子だ。
緑魔子が狂四郎の前に肌を晒す時のセリフが冴える。
 
 全裸を狂四郎に見せた「紫」に狂四郎が言う。
「そんな眺めには慣れておる。他に趣向はないのか」

 やはり「紫」に向かって
「夜鷹を抱くほどの喜びもあるまいが、死神の体を正味しよう」

#1348 382本目
1968年 大映映画 狂四郎(11/12)
監督:安田公義
脚本:星川清司
原作
柴田錬三郎
音楽:渡辺宙明

 母の墓参りのため甲府にやってきた眠狂四郎。そこには将軍・家斉の妾腹の子という土門家武(川津祐介 )と妹・紫(緑魔子)が権力を笠に着て、村人を監禁してきては殺戮の限りを尽くしていた。

 私が封切り時に眠狂四郎を観た作品は今作からだ。
第10作までと印象がかなり違ってきているように思えるのは、ロケが多くなったことによる。しかしロケが多いと行っても限定された場所で繰り返していて、これが作品を貧弱なものにしている気がする。

 ストーリー展開は単純そのもの。シリーズの中でも1、2を争うぐらい面白くない。

 円月殺法を冥土の土産に貰えるのは、土門家武役の川津祐介のみ。残念ながら円月殺法を使うほどの相手ではない。

いよいよあと1本。狂四郎と共に雷蔵もこの世から消える。
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