Chocochip

さよなら、さよならハリウッドのChocochipのレビュー・感想・評価

4.5
原題は「Hollywood Ending」
ハリウッドにありがちなエンディング=ハッピーエンド、とも取れるし、ハリウッドが終わりつつある、とも取れる。どっちの意味も含んだ映画だ。

小劇場に出ている駆け出しのガールフレンドに代役がいるんだから休めば?のセリフに「嫌よ。スティーブン・スピルバーグとかハーヴェイ・ワインスタインが見に来たらどうするの?」の返事。ウッディ・アレンは「その日はユダヤの祝日だから彼らは絶対に来ないよ」と返す。

時代を感じるセリフ。ハリウッドは性加害スキャンダルが吹き荒れた。その中心人物たちの名前とユダヤ。わざとだろう。
ハリウッドは衰退している。夢やひとときの幸福を売るところじゃなくなってる。

ウディ・アレンの映画で流れる古いジャズが好きだ。この作品ではEdmond Hallの"It's Been So Long"とかJackie Gleason楽団の"Serenade In Blue"が効果的に使われてる。戦前の古いジャズには、夢やひとときの幸福を感じさせる職人技が詰まってる。

この前、ラジオで細野晴臣がフレッド・アステアの1930年代の曲を特集していて、ハリウッドにも言及していた。

「1987年、フレッド・アステアが亡くなって、アステアがいない時代になってしまって、それ以来、ハリウッドの衰退が止まらないですよね。最近ではストライキがあったりして。一番言いたいのは、ジェントルマンと言われたアステアのような人がもう出てこないということ。天才なのにジェントルマンというね。それとともに、メロディが失われてきたと思う。今は自分でもメロディーを作れない時代。頑張ろうとは思うんですけど。1930年代はとても貧しい時代。そんな時代にクリエイターたちは、良いものを作ろうと必死で頑張ったんだと思う。だから1930年代には名曲がたくさんある。」

細野晴臣にもウッディ・アレンにも、とても共感する。
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