菩薩

ふくろうの叫びの菩薩のレビュー・感想・評価

ふくろうの叫び(1987年製作の映画)
3.6
生きてるだけで周囲の人間を不幸にするマンvsその他大勢の狂人によるサバイバルマッチ、夢の世界に土足で踏み込んでしまった男が引き起こす悲劇のピタゴラスイッチ。思えばゴングが鳴る決定的たる瞬間である焚火の前での出会い、画面手前の燃え盛る炎がまるで彼の身体を地獄の業火で包み込む様にすら見える擬似人体発火は、その後の展開を予測させる物として充分なインパクトを残す。初対面の人間、かつ自分をストーキングしていた男に惚れ手作りクッキーを送る女。黒沢清『クリーピー 偽りの隣人』の実は香川照之より頭おかしい竹内結子の元ネタはこれなのでは…?捨てられた婚約者との殴り合いの末の顔面フルボッコ状態でのお食事会の異様さ、あそこだけ若干コメディめいているが「歯がグラグラする…」とか言うとる場合で無い。見知らぬ所から視線を飛ばしていた男の元には見知らぬ所から銃弾が飛んでくる様になり、他人の世界に土足で踏み込んだ男の世界には他人が土足で踏み込んで来る。そこからのラスト10分に耳の奥がゾクゾクする不快感が残る。負の感情に突き動かされた者達の末路、いや、変な映画だわ本当。
菩薩

菩薩