ダイゴロウ

國民の創生のダイゴロウのレビュー・感想・評価

國民の創生(1915年製作の映画)
2.0
1915年公開、3時間長の古き長編映画。
映画「ブラック・クランズマン」では、劇中でKKKが喝采を上げながら本作を鑑賞している。

映画史に残る作品であるが、本作をただの傑作と評するのはあまりにも不快で不適切な作品である。

南北戦争とリンカーンの暗殺、KKK (クー・クラックス・クラン)結成を描いている(実際の結成時期は諸説あり)が、多くの点で現実と乖離した内容になっており、本作で歴史を学ぶのはあまりに危険。

日本に住んでいるとKKKなんて集団になかなか馴染みを覚えないと思われるが、アメリカの「白人至上主義」の秘密結社(黒人以外にも、アジア人、ヒスパニック、ユダヤ人、フェミニズム、同性愛者にも反対の立場に立つ、旧時代的な差別集団)である。

本作の一番の罪は、このKKKを正義の集団として英雄視して描き、黒人(特に黒人と白人の混血の人)を悪者として描いた点。
奴隷として仕える黒人を気の良い白人の仲間として描き、自由を勝ち取った黒人を過剰に野蛮な悪人として描いているところが殊更憎たらしい。

時代を考えれば、映画としてのクオリティは驚異的ですらあり、映画学校の教材として使われることも多いというが、差別的な注釈なしにこんな作品を鑑賞させられたら退学したくなるレベルの作品と言える。
技術的な側面にだけ敬意を払い、採点する。