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赤ひげのkogureawesomeのレビュー・感想・評価

赤ひげ(1965年製作の映画)
3.5
黒澤明の映画は登場人物の心が変わるシーンが印象に残る。
例えば『七人の侍』では、リーダーの勘兵衛が農民の為に野武士との戦を引き受けるシーン、『天国と地獄』では主役の権藤が身代金を支払うと決めるシーン。
『赤ひげ』では加山雄三が赤ひげの診療所に嫌々、勤めさせられていたのがそうではなくなるシーン、
または遊郭で大人達にいじめられすっかり心が閉じていたおとよが加山雄三に心を開くシーン、
さらにおとよの強情に手を焼いていた賄いのおばさんがおとよの優しさを偶然、目撃して涙するシーンなど心が動かされる。
シュチュエーションを積み重ね、段々とそうなる流れがあるのだが、それだけでなく、誰でもするというよりも、この登場人物のキャラクターなら、そうするだろうと思えるように拵えているからこそグッとくる。
『赤ひげ』のラスト、三船が嬉しさを怒ったような話し方で隠しながら加山雄三に憎まれ口を叩くシーンにニヤニヤしてしまう。
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