まーしー

ストーカーのまーしーのレビュー・感想・評価

ストーカー(2002年製作の映画)
3.0
ロビン・ウィリアムズが常連の一家に異様な執着を示すサイコスリラー。
と言っても、邦題から連想されるような、一家への付きまとい行動を描いた内容ではない

どちらかと言えば、孤独な中年男性の寂寥感を浮き彫りにした、ドラマとしての側面もあ
るだろう。

本作の主人公は、スーパーマーケットで写真を現像する仕事に就くサイ(ロビン・ウィリアムズ)。
冒頭、孤独な主人公サイが警察官の取り調べを受けるシーンから始まる。
この冒頭と邦題から、サイが警察に逮捕されたことが想像つくだろう。
個人的には、この演出はあまり好みではない。サイが罪を犯し、逮捕されたことを序盤で
知らされ、その後のストーリーの予想範囲が狭まるからだ。
結果、サイがどのような犯罪を行ったのか、だけを焦点に本作を楽しむことになる。

しかし、楽しむのは罪の内容だけではなかった。サイの純粋さも印象に残った。
赤の他人である一家に起きた、不誠実な事件。その事件をきっかけにサイが狂気じみた行
動に移すのだが、他人のために、一種の正義感で行動するその姿は共感しがたい。
が、それほどサイが純粋だったとも受け取れる。

終盤、サイが警察官に向かって放ったセリフが印象に残る。
「君は子どもに対して虐待を行わないだろう」
彼の生育歴を示唆するものとして興味深い。サイが結婚せず孤独な人生を送り、そして異
様な執着を示すことになったかを暗示する一言だろう。

コメディアンの印象が強いロビン・ウィリアムズが怪演した本作。
興味ある方はぜひ。