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コード・アンノウンのleylaのレビュー・感想・評価

コード・アンノウン(2000年製作の映画)
3.9
この作品自体が観客に理解を求めていなくて、人間なんて通じ合うことができないものだ、という視点で描いているよう。移民問題、人種差別、虐待、無関心など、現代の問題を提起した冷淡でいて根は優しいハネケ監督らしい作品。ハネケ監督にしてはマイルドです。

冒頭とラストに出てくる聾唖の子のジェスチャーゲーム。誰も答えがわからずコミュニケーションが通じない、このもどかしいシーンは今作そのものかも。

女優アンヌ(ジュリエット・ヴィノシュ)と、恋人や恋人の弟、アフリカ移民の少年、不法移民の女性など、それぞれが問題を抱えた5人をぶつ切りショットの連続で映す。彼らはわずかながらリンクしている。

電車内で移民の青年にからまれるアンヌと、それを見て見ぬふりをする乗客のシーンはドキュメンタリーのようで見入りました。オジサン(移民のように見える)の勇気に拍手。

そこから聾唖の子供たちのドラムの音が流れ、暗証番号(コード)不明で恋人アンナのアパートに入れない彼氏のラストシークエンスまで、ただ遠くから観察しているだけなのにヒリヒリとドラマティック!

誰かの日常を客観的に映しているけど、それは自分のことかもしない。電車の中で見て見ぬふりをしてるのは自分も同じ。

聞こえないのにみんなでまとまってドラム演奏をする聾唖の子供たちの姿が、健常者と対比されているようで印象的でした。


*のんchanありがとう*
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