odyss

足にさわった女のodyssのレビュー・感想・評価

足にさわった女(1952年製作の映画)
2.5
【刑事と女スリは敵か、それとも・・・】

何度か映画化されている素材だそうですが、私はこれしか見ていません。
池部良と越路吹雪が主演した1952年制作のバージョン。モノクロ。

女スリ(越路)と刑事(池部)、そして作家(山村聡)の3人がメインになって物語が展開します。

いちおう刑事は女スリを追う立場ですが、たまたま刑事が休暇をとって大阪から東京に行く途中の列車の中で・・・・という設定。列車内の様子や、二等車(今のグリーン車)に乗る客の様子などはいささか時代がかっていますが、そういう昔の風俗を味わうのも一興でしょう。

喜劇として見ると、やはりそこは時代性が感じられ、変に湿っぽくないのはいいけれど、すごく笑えるかというとそうでもない。喜劇を意識しすぎて進行がやや上滑りしている印象もある。むしろ女スリと刑事の腐れ縁めいた人間関係に、男女の敵対と愛情を見て取れるところが面白い気がします。

山村聡のカンチガイ作家役も見ものかも。山村というと落ち着いた重厚な役が多いのかと思っていたのですが、意外、こういう喜劇的な役もやっていたのですね。勉強になりました。
odyss

odyss