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わたしを離さないでのusagipanのネタバレレビュー・内容・結末

わたしを離さないで(2010年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

原作未読で鑑賞。

臓器提供するためだけに存在する子供。自分の運命を受け入れて暮らすその表情が、笑っていても影があり、終始辛い映画だった。自分のルーツを知ることもなく、閉ざされた空間で、健康でいるための管理された食事、検診。生まれた時からこんな環境にいるのならそれが彼らにとっての当たり前。
真実を知ることになっても逃げ場が一切頭に浮かばないような状況で、ただ受け入れるしかない。なんて辛いんだと序盤から心が抉られた。
また、ルースが最後の提供を終えたシーンを見て、まるで臓器を保護・成長させるための"容器"のように感じてしまった。冒頭で人類の平均寿命は100歳を超えたという表記からキャシー達がヒトとして見られていない世界だってことが分かってまた辛い。
自分が、自分の愛する人が、病気になってしまったらこの制度があって良かったと思うんだろうか。

キャシーもルースもトミーも、嫉妬、仲間外れになりたくない、馬鹿にされたくないなど抱く感情は人間そのもの。3人の間には確かに絆があり、空回りつつもお互いを思うからこその行動が切なかった。
キャシー達が暮らしていたヘールシャムは、クローンを使った医療体制に反抗する施設だったのか?だから心があると証明するために芸術に力を入れてたのか?マダムに会いに行ったシーンではそんな疑問が残った。
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