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聖なる酔っぱらいの伝説の一人旅のレビュー・感想・評価

聖なる酔っぱらいの伝説(1988年製作の映画)
4.0
第45回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞。
エルマンノ・オルミ監督作。

パリ市内の橋の下で野宿生活を送っているアンドレアス(ルトガー・ハウアー)は、ある日謎めいた老紳士から200フランを借りる。その時からアンドレアスの身の上に奇妙な出来事が起こり始める・・・。

無欲で優しき心を持ち続けた男に対する救いなのだろうか。

アンドレアスは貧しいが卑屈になることはなく、金も必要とはしていない。それでも、たまたま入ったカフェで仕事が見つかったり、新品の財布に札が入っていたりする。
さらには金だけでなく、昔出会った人々との再会の機会ももたらされる。
過去に懐中時計を譲ってくれた老夫婦や、昔の旧友との再会を果たす。

現実と幻想が入り混じった不可思議な世界。

それはただ単にアンドレアス自身が酔っ払った末に見えたものなのか、それとも、生と死の境界が曖昧になりつつあることを示唆していたのか。
両方受け取れるが、個人的には後者であるように思う。

絶えず流れ続けるBGMが良かった。ガンガン主張して感動を誘ってくるわけではなく、例えるならば図書館で流れているような静かで心地よいBGM。
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