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荒野の七人のStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

荒野の七人(1960年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

午後ロー録画視聴。

黒澤明の『七人の侍』の翻案。メキシコとアメリカの国境の町が舞台。

士農工商といった身分差別がない代わりに、ユル・ブリンナー演じるクリスが人種差別的葬送の風習に反発し、それにスティーブ・マックイーン演じるビンが同調するところから始まる。侍からガンマン(用心棒)稼業の男たちの集まりに移ったのでそのままでは村人との違いは生き方の違いに過ぎなくなるところを、白人男性たちがメキシコ人たちの村を守るという形にし、人種の違いの構図を盛り込んでいる。

「勝ったのは農民だけ」という結論は同じだが、オリジナルよりも農民の狡さに対する嫌悪感みたいなものが薄れる演出だと思う。一つには、アイルランド人とメキシコ人のハーフ、ベルナルド(チャールズ・ブロンソン)とメキシコの子どもたちの交流が描かれ、「用心棒みたいな妻子のない流れ者よりも、家庭を持って守るという重責を果たすお前らの父親の方が何倍も偉い」という理屈づけがなされるからである。もう一つには、オリジナルでは小作農出身のお侍志望者菊千代は死ぬが、こちらでは農民出身のガンマン希望者チコは生き残り、村の娘と結ばれ農民に戻るからだ。

ユル・ブリンナーが歩き方といい目力といい、この世のものならぬ格好良さ。髪があったら普通の男前俳優に過ぎなかったかもしれないが、スキンヘッドであることにより無国籍性が加わっている(ブリンナー自身はロシア出身)。スキンヘッドのガンマンが本当にいたのかどうかは分からないが、私にとっては強烈な格好良さを感じさせる映画アイコンの一人。
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