「スカイエース」

冒頭、1917年、フランス。ここは駐屯地。第一次大戦勃発、英軍と独軍のパイロットの戦い、猛攻と空中撃、仲間の死、飛行時間、幻影、歌。今、ヨーロッパ戦線を舞台に勇姿を描く…本作はジャック・ゴールド監督(ゴールド監督といえば恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチしか見たことがなく)による1976年のパイロット映画で、戦争映画の傑作とされていたが長らくBD化されておらず、今回漸く発売されたため購入して初鑑賞したが面白い。ドイツ空軍と一大決戦を交えるイギリス空軍のパイロットたちの姿がなんとも素晴らしい。当時は渋谷東急で上映されていたらしい。

今回は81年12月25日のテレビ放映時の日本語吹き替え音声が収録されており、当時ブラウン管テレビで見た人たちには嬉しいサプライズだろう。そしてキューブリックの「時計じかけのオレンジ」等で有名なマルコム・マクダウェルが主演を務めていて、他のキャスト名も見るとなかなかオールキャストが勢ぞろいしている。まさに空前の戦争スペクタクルアクションを撮るのにふさわしい名前がずらりとされた。どうやらこの作品は当時としては破格の制作費800万ドルの超大作だったそうで、ダイナミックかつ華麗な撮影を担当したジェリー・フィッシャーのフレーム作りは素晴らしいものだ。さらに007シリーズのデレク・メディングスが特撮を担当しているのも見逃せないだろう。

さて、物語は1917年、フランスの英空軍駐屯地に着任する新米パイロット、クラフトたち。航空時間わずか十数時間の頼りない若者たちに過酷な任務が次々と下される。空の英雄は酒に溺れ、ノイローゼで操作不能の兵士など思わぬ事態と直面する中で、ドイツ空軍の猛攻にさいなまれながらもクロフトらは戦功をあげようとするのだが(ジャケット裏のストーリーの引用)。いやー、冒頭の空中でのパイロット同士の戦いから最高である。あんな臨場感ある特撮、空撮は凄い。なんともなめらかに飛行されるのだろう…そして多くのカット割りが積み重なり圧倒される。それにしてもマルコム・マクダウェルが若い。

『トップガン』みたいな陽性は微塵もなく、昭和日本の予科練映画に近い暗さはイギリス映画ならではか。
悪童マルコム・マクダウェルが悩めるエース軍人を好演しているが、やはり悪人のほうが映える。

空戦映像は本物の飛行機を飛ばしていると思われ、それなりに見応えあり。

ジャック・ゴールド監督作品。
時は第一次大戦。イギリス空軍フランス基地のマルコム・マクダウェル演じるグレシャムの部隊に、新米パイロットのクリフトが赴任するが・・・という話。

新米パイロットが赴任してからの7日間を描く。戦場にいる若者の苦難、悲哀を描き、ペシミスティックな空気が作品を覆う。日に日に一人ずつ死んだり、精神が狂ったりしていき、そしてまた補充要員として若者が駆り出される。

戦闘機の空中戦がすごい。自由自在に飛び回る戦闘機をカメラでとらえる。『トップガン』よりかなり前にここまで自由に空撮しているのはすごい。煙をあげながら落下していく戦闘機や、本物の戦闘機が墜落して爆発したり、戦闘機が燃えて、燃えた飛行士が戦闘機から落ちたり、空中での戦闘機の正面衝突があったりと凄かった。