【第56回ベルリン映画祭 金熊賞】
『アイダよ、何処へ?』のヤスミラ・ジュバニッチ監督作品。ベルリン映画祭コンペに出品され、金熊賞、エキュメニカル審査員賞、平和映画賞の三冠を達成した。
大傑作『アイダよ、何処へ?』の監督ということで期待していた。そしてその期待に違わぬ秀作だった。とてもいい。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が残した傷跡を切実に描いている。シングルマザーの女性と娘を描いたシンプルな作品だが、深い傷跡を観客にも残す。
内戦ものは辛くてあまり観ないのだが、本作は観てみるとちょっと違った視点。母娘を淡々と映し、その背景に内戦が浮かび上がってくる。その視点が実に見事。
こういうことが出来るのが映画だよなという作品だった。希望を残す終わり方も素晴らしい。『アイダよ、何処へ?』ほどではないがかなり気に入った作品になった。