トムヤムくん

ツリー・オブ・ライフのトムヤムくんのレビュー・感想・評価

ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)
4.4
今もなお「生きる伝説」と呼ばれるテレンス・マリック監督の代表作。カンヌ国際映画祭で上映された際には、拍手喝采とブーイングが同時に巻き起こったことで話題となった(しかも最高賞のパルム・ドールを受賞しているのだから凄い)。

まず結論から言うと、何回観てもさっぱり分からないが、でも何となく好きだな〜!という感じ。本作は、映画における「エンターテインメント性」のようなものを最大限にまで削ぎ落とされていて、まあ何とも前衛的で、観念的で、哲学的で、精神的。言わば「考えるな、感じろ」系。個人的にはそれがエンターテインメントになり得てるのだが、どう考えても万人受けなどするはずもないので評価が低いのも納得。

でも内容に関しては至ってシンプルで、ひとつの家族を描きながらも、人類の、生命の、地球の、宇宙の、誕生と創造を同時に描くというもの(本当にこれで合ってるかは分からないけど…)。なので、さっきまで家族で仲良くしていたのに、いきなり何の見境もなく「滝」だったり「宇宙」だったり、次々と大自然の映像が映し出されたりする。そりゃ「難解映画」のひとつにも数えられるよな、と。しかもストーリーの奥深くにキリスト教や聖書なども関係してくるので尚更訳が分からない。

まあ、いくら神秘的な映像が映し出されて、圧倒的な映像美であろうとも『アース』や『オーシャンズ』のような気軽に楽しめるようなものではない。ましてや、あいだあいだに詩的なメッセージが差し込まれたりするので、めちゃくちゃシュールで胃が重くなった。開始30分では、既に「宇宙」どころか「細胞世界」や「恐竜の時代」の映像などが映し出されるので、割と早い段階で行くところまで行ってしまってる。

そもそも本作は監督の子供時代を描いている半自伝的な映画なので、それを知ると余計に監督の狂気たるや恐ろしいものを感じてしまう。さすがに1時間も過ぎれば、徹底的に家族ドラマが進んでいくのだが、それでも何かしらのメッセージ性が込められているのでもう何のこっちゃ🤗🤗🤗。

意味を考えれば考えるほど分からなくなる。かと言って「つまらなかった」わけでもない。どちらかと言えば「時代を先取りしすぎている」ような気もした。もしかすれば50年後くらいには、ヒッチコックやキューブリック作品のように高い評価を受けているかもね…。