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ワンス・アンド・フォーエバーのmoricoのレビュー・感想・評価

3.7
性癖刺激しまくりの映画で大変好きだが、よく考えてみれば、アメリカは歴史的にベトナム戦争で敗したし、ベトナム戦争といえばなんと言ってもゲリラ戦、こんな正規軍同士のぶつかり合いが繰り返されていたわけではない。

序盤から露骨なまでに、歴史の修正を試みるこの映画は、インドシナ戦争で北ベトナム軍に大敗したフランス軍とハル・ムーア率いるアメリカ軍を対比し、いかにアメリカの兵士たちが有能に、果敢に敵と戦ったかを描く。
なんならカスター将軍まで引き合いに出してくる。
また、人種の垣根を越えて共闘するアメリカ軍は、縮小された他人種国家アメリカであり、実際はレイシズムが蔓延っていたにも関わらず、アメリカがいかに寛容か説く。

ワンスアンドフォーエバー以前のアメリカによるベトナム戦争映画は、アメリカの敵はベトナムではなくアメリカ自身であり、引き裂かれた自国を悲哀たっぷりに描いていて、なんとも観ていて重い気分になるのだが、本作にはそれがなく、時代的にも同時多発テロ以降のイラク戦争に向けてかつての歴史を語り直し、アメリカ人が一致団結しなくては、というメッセージに溢れている。

正直、メッセージはいただけないが、ここまであからさまだとイロモノ映画としては面白いし、実際、登場人物それぞれが非常に英雄的に勇しく描かれているため、娯楽映画として優れていると思う。
メル・ギブソン演じるハル・ムーア中佐は言わずもがな、サム・エリオットやバリー・ペッパーなど、漢気溢れるいい顔ぶれが揃う。

あと、余談だが人体破壊描写もなかなかである。スピルバーグ顔負けかも。

あかん、何度観ても好き。
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