荒野の狼

カンフーハッスルの荒野の狼のレビュー・感想・評価

カンフーハッスル(2004年製作の映画)
4.0
”少林サッカー”のチャウ・シンチー(周星馳)が、監督・主演した2004年の公開作品で、コミカルなカンフー映画であるが”少林サッカー”と内容に関連はない。暴力組織と貧困住民の対決が軸になっているので、暗いシーンはあるが、それほど残虐なシーンはない。
主役以外で、主要な役を演じているのが、この映画で抜擢されたり(ヒロインの黄 聖依 ホアン・シェンイーは、この映画がデビュー)、それまで引退していた俳優なのだが、そうした点はまったく感じさせない演技。最強の相手を演じるブルース・リャンは、ブルースリーの死後のカンフーブームの立役者で、この映画に出演するまでは、芸能界を引退していた。この映画では、本人にとって初めての悪役とは思えないほどの迫力。若い頃、倉田保昭らと名勝負を演じた当時のハイキックなどは影を潜めるが、存在感は圧倒的。オールドファンには、映画界に復帰してくれただけでも嬉しく、強さは本物。
貧困住宅の大家を演じるユン・ワー(元華)は、ブルースリーのスタントマンを演じた俳優で、本作品では、ブルースリーが”ドラゴン怒りの鉄拳”で見せたアクションと同じものを披露している。その妻を演じたユン・チウ(元秋)は、本作品に出るまで、これといった出演作はなく引退していたのだが、本作では、ブルース・リャンらと激闘を演じたり、コミカルな演技を見せるなど、映画の前半の事実上の主役と言ってよい活躍。カンフーアクションは、ややスローモーションが多いことと、決定的な技のすべてがCGである点などには不満が残るが、ドン・ジーホウ(董志華)の棒術などは素晴らしい。
カンフー映画に欠かせない、後半の盛り上がりもよく、特に、暴力組織との戦いに逡巡する大家夫婦に、カンフーの達人の一人であるチウ・チーリン(趙志凌)が言う次のセリフから、ボルテージは上がっていく。

”強くなるほどに責任も増す。逃げるな。”
荒野の狼

荒野の狼