チッコーネ

ルチオ・フルチのザ・サイキックのチッコーネのレビュー・感想・評価

3.0
サイキック女性を取り巻くサスペンスで、当人が自身の能力をしっかりと把握していないほか「周囲の人が迷惑がる」というリアリティを付け加えた脚本が面白い。
展開は序盤の車酔い場面の暗さを、終盤まで引き摺る。
彼女の義姉や、かかりつけ精神科医の助手などのキャラクターはややエキセントリックだが『対比として配置された明るいユーモア』とまではいかないところが、監督らしかった。
またカタルシスを敢えて排除したラストの構成もひねくれており、腕時計やジタンといった小道具が効果的に活用されている。
しかし何といっても、ヒロインを演じるジェニファー・オニールが神がかった美しさで、見惚れてしまう場面多数。
演技云々を超越してしまう美で、ヴィスコンティのお眼鏡に叶ったのも納得。
彼女がイタリア人ではないからか、台詞は全編英語で「シニョーラ」とか「アリヴェデルチ」とかだけイタリア語という、不自然な構成。