メープル侍

高地戦のメープル侍のネタバレレビュー・内容・結末

高地戦(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

朝鮮戦争を題材にした作品の中では、民族統一の意識が高まった2000年代の影響を大きく受けていると感じた。韓国軍と人民軍の戦場での交流を描いた作品であり、反戦・融和的メッセージが描かれている。
映画全体を通して、使用する音楽が持つ意味と役割を変化させ、反戦的メッセージをうまく伝えている。映画制作の意図とも感じられ、いい音楽の使用だと思った。さらに戦闘中の音楽によって戦闘音がかき消されることなく聞こえ、戦闘の現実を表現できている。
さらに、山岳戦闘という、朝鮮戦争の特徴をカメラアングルや演技・エキストラを含めた全体の動き、で強調することができている。特有の困難を描くことに成功しており、朝鮮戦争を伝える目的も達成している。
しかしながら、反戦的メッセージを持っているにも関わらず、ヒーロー的に描かれる韓国軍のキャラクターは、戦争におけるヒロイズムを肯定する可能性がある。ヒーローを登場させながらも、彼らの存在を否定できればより良い反戦映画になったのではないだろうか。
また、人民軍の美化が行われている可能性がある。これは、歴史映画として捉えることもできるこの映画において、正当な描き方で合ったかについては議論の余地がある。

カメラが固定され、何度か韓国軍と人民軍が押され、押しをするショットは朝鮮戦争ならではの山岳戦闘と戦線の押し合いを感じさせる印象深いショットだった。(Amazon primeなら00:55:14のシーン)

戦争の恐ろしさを描くために、音・シネマトグラフィ・ストーリーが効果的に組まれていて、全体的に見れば良い作品となっている。誰しもが一度は、見ていい映画だと思う。4/5