ももいろりんご

千年女優のももいろりんごのレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
3.7
今敏(こんさとし)。漫画家、アニメーター、アニメーション監督。天才と言われる日本のアニメクリエイターの作品はいつか観なきゃと思っていて、今回初めて劇場でキャッチした。
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往年の大女優で、ある時、忽然と世間から消えた藤原千代子。この日、彼女のファンで元映画関係者だった立花源也はカメラマン井田恭二を連れ、千代子のインタビューのため、その自宅を訪れる。千代子本人から語られる女優の一代記は、いつしか彼女の思い出と、彼女が出演した映画のエピソードとが混ざり合い、時を行き来する壮大な冒険となり、立花と井田は千代子とともにそれを追体験することになる…。
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女学生だった千代子…まさにハイカラさんの時代。憲兵に追われていた男を助け、恋に落ちる。軍国主義の時代に名前も知らない絵描きを憲兵から庇うなんて、マニア垂涎の浪漫〜♪(なんのマニアだ!😂)
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手元に残された鍵と少ない手掛かりを元に、千代子は彼を追いかけるために女優になる。
戦前の帝都・東京から満州へ、時を越え、戦国時代では燃える城で生涯を閉じようとする姫君に、江戸時代のくの一に、幕末の遊女に…と。彼女が演じた映画の世界と彼女の人生が、重なって交差して…時間と空間を越えるその思いはひとつ。
あの人に一目会いたい。
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ひたすら追いかけ、場面展開していくので実はあまり物語らしいものはないのだが、ひとりの乙女の恋物語にしては展開が壮大。世界観の見せ方、広がりがスゴい👍✨
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個人的には思ったよりハマれなかったのだが、私は、”物語”に期待してしまうからですかね。最初の設定で、こんな風に進んでいくんだ!ってわかった時の面白さ以降、ヒロインの気持ちとか行動が、だんだん予想できてしまいまして。
にしても、インタビュアーの2人が、そのシーンそのシーンで何かの役(設定)を与えられて、ヒロインを助けストーリーに引っ張られて行くところは、同じようにドキドキしながら観ることができて、不思議な感覚。おもしろかったです。

回想と現在と虚構。
大女優のヒロイン、インタビュアー、映画。
3つの視点が相まって表現されるのはうまい。映画や映像、アニメへの愛も感じる。きっとまた観たくなる作品だなぁ。
あたかも千年続くような、人の思いと人生の旅路の話。