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サニー 永遠の仲間たちのellshootingstarのネタバレレビュー・内容・結末

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

アマプラのおすすめに出てきたので観てみた。

【良かった点】

主人公イム・ナミの高校生時代を演じた女優の演技・表情がとても良かった。調べてみると、ドラマ「春のワルツ」に子役として出演していたので、観たことがあるのだが、記憶に残ってまではいなかった。そして、シム・ウンギョンという名前に記憶があり、話題になった映画「新聞記者」に主演した人だとわかりちょっと驚いた。

その他の俳優陣も現在と高校生時代を描くいずれのメンバーも良い演技に感じた。

ラスト・シーンは、行方がわからなかった最後の一人が現れ、微笑む僅かな時間の登場で、特にこれまでのことや現状を描かずに、スッパリと幕を閉じた。その他のメンバーの様々な人生模様、また当人の辛い高校時代の出来事が描かれた後なので、かえって良かった。


【残念だった点】

韓流ではスラップスティック(ドタバタ)がたびたびあり、嫌いな訳ではないが、労働運動のデモ隊と機動隊の攻防に、敵対する高校生のチームの攻防が混戦するところは、さすがにやり過ぎに感じた。

高校時代に抱いた輝かしい夢や将来像と、その後の現実が異なることはままあり、また、これを交互に描くという作風も珍しいことではない。こうしたストーリー立ては興味深かった。ただ、この映画でもっとも残念だったのは、リーダーの祭壇の前での弁護士による遺言内容の発表シーンである。

ずっと会っていなかった仲間が旧交を温め、助け合うのは良い。しかし、早逝するリーダーが社長で、たまたま過去を思い出したことで、困っているかつての仲間に遺産を分け与え、メンバーが救われるという、降って湧いた幸運というのがいただけなかった。力を合わせて困難を少しではあるが乗り越える、という脚本だと良かったのにと思う。

それというのも、宮崎駿監督が、ディズニー映画は王子様がどこかから現れ、主人公を助けてくれという内容が気に食わず、当人の映画では主人公が自力で困難を乗り越えるストーリーにしている、という話を聞いた影響もあると思う。

ついでに言うと、ドラえもんがのび太を過保護に助けて甘やかすため、結果的にスポイルしており、そのアンチテーゼとして描いたのが、役に立たないまじかる☆タルるートくんと、作者である教育大学教育学部出身の漫画家が語っていたのも思い出す。

そのように、大きな幸福が得られるかどうかの結果より、自力(プラス仲間の協力)で頑張るというプロセスの方に私は励まされる。