真っ黒こげ太郎

悪魔のえじき/ブルータル・デビル・プロジェクトの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

5.0
1999年7月、3人の男が行方不明になり、フィルムが流れ着いた。
今作は、フィルムは修復、再編集したものである。
因みに当局はニセモノと決めつけて男達の捜索を打ち切る。
島の場所は今も特定されていない…。

※なおこの文章は配給会社が「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」に便乗する為に勝手に付け加えられた文章です。
本作はフィクションでありPOVでもありませんし本編とは一ミクロンも関係ありません。
忘れましょう。
(!!!!!!!!!!!!!!!!????????????????)




ヨットの故障で漂流し、島に流れ着いた3人の男。
しかし島に着くや否や、厚紙とアルミで作られたようなブリキのマスクを被った集団に捕らえられ拉致されてしまう。
(因みにマスクの造形で「俺の名を言ってみろ!」なお方を思い出したのは俺だけじゃないハズ。)

漂流した男達が連れてこられたマスク軍団のアジトでは、マスク集団が武器を手に特訓に明け暮れ、マッドサイエンティストのジニアス博士による恐ろしい人体実験や、軍団の教祖であるマイスター親子によるおぞましい公開処刑が横行している地獄だった。
(因みにマイスターの息子役の人は監督自身。w)

漂流した男達は彼らが行う大行事である「狩り」の標的として、裏切者の男と共に野に放たれる。
実はマスク軍団を壊滅させようと目論んでいた裏切者は、漂流した男達と一緒に、反撃を開始する。
一方、マスク軍団は彼らを葬り去るためにジニアス博士が作っていた「闇の軍団」をけしかけようとしていた…。




とっ捕まり人間狩りの標的にされた男達と、彼らを狙う恐ろしい殺人カルト教団との戦い(!?)を描いた、

超低予算・サバイバル・ゾンビ・モンスター・アルティメット・残虐・鬼ヤバ・マジキチ・スプラッター・カンフー・ニンジャ・コンバット・アクション・コメディ・おバカ・天然ボケ・カオス・やりすぎ・ホラー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
(もうジャンル分かんねぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww)

ドイツ産スプラッターホラー四天王(誰!?)の一人とされている、アンドレアス・シュナースさんの代表作「VIOLENT SHIT」シリーズの3作目にしてシュナース監督の代表作。


恐らくシュナースさんが手掛けた作品の中では今作が一番多くの人に見られてるのではないかと。
(実は字幕なしの1作目を見た事あるのだが、ここでは割愛。)
かくいう俺もよりによって今作が俺の人生の中で初めて見たシュナース作品だったりする。wwwwwww

始めて見た時は物凄いクソ映画と聞いて(まぁ、間違ってなかったが)、テキトーに鼻をほじりながら見てたのだが、気が付けばそのあまりにも凄まじい内容(色んな意味で)に度肝を抜かれてしまった。
今作、VHSがDVDに取って代わる時代の節目にリリースされたからか、未だにDVD化もされておらず埋もれてしまっている。
(まぁ、こんな怪しすぎる作品を再リリースしようとするような奴がいるとは思えんが。)
だが、こんな凄まじい作品が眠っているんだから人生何が起こるか分かんねぇものだ。
(因みに俺はここでは言えない様な方法で今作の鑑賞に至れたので、皆も頑張って探してね!!wwww)

狙いなのか!?実力なのか!?意図的なのか!?はたまた天然なのか!?
制作陣の真面目と不真面目さが全く読めぬ問題作が、これだ。



映画が始まるや否や、配給会社が勝手に書き加えたと思しきテロップが流れ「これは実話ですよ~」というトーシローにもわかる嘘をブッかまし、壮絶なカウンターパンチでお出迎えしてくれるのだがこれはまだ序の口。
開始数分でそこいらのトランスワールドアソシエイツ配給作を凌駕する滅茶苦茶ショボい映像が映し出され、一気に脱力状態に。
その後も映像、造形、演技、脚本等欠点だらけな…むしろ欠点の無いシーンを探す方が難しい程に、映画としては破綻しまくってる!!!

ブリキ製と言ってるがどう見ても厚紙かその辺りで出来てるカルト教団のマスク。(と作り物感満載の剣や盾。)
妙にやる気のない動きばかりしてる教団のエクストラ。
ってかそこいらの荒れ地や森でごっこ遊びしてるレベルな教団本部。w

ドイツ語でも棒読みなのが丸わかりな俳優陣。
監督が敵ボスの一人として出てきて無駄に熱演。w
全く嬉しくない残念な女優のヌード。
プラスチック製のおもちゃをカクカク動かしてるモンスター。

捕まって命の危機なのに妙に呑気な掛け合いばかりしてる主人公グループ。
しかも途中で別の男達が出てきて主人公グループが雑に絶滅(!?)し、よく分からん別の男達が主役になるという謎の交代劇。

ヘナヘナな画質。
ヘナヘナなBGM。(ゴブリンのパクリっぽいBGMも流れるw)
ヘナヘナな俳優。
ヘナヘナなアクション。
ヘナヘナすぎて意味不明な展開…。


…とまぁこんな感じで問題点を上げたらキリがない、ってか今作”問題点”しか”ないです。

いやぁ、

こ   れ   は   ヒ   ド   イ    。    w

映画として見れば確実にZ級の駄作レベルなのは間違いないだろう。


だが、そんなゴミ映画レベルではあるが、俺はこの映画を支持したい。
何故なら今作はゴミながら、凄まじいバカエネルギーに溢れてるのだ。

まず今作、真面目に良い所としてはゴア描写が頑張ってる。
単なる串刺しや銃殺でも派手に血が飛び、首チョンパは当たり前で、フックによる腹割きに顔面皮剥ぎそしてケツから脊髄引き抜き(アッー!)、指に腕に足に首とあらゆる部分がチョンパされまくる。
更に顔面をパンチで粉砕するわ素手で頭をもぎ取るわ、鉈で頭を縦に割くわ、解剖実験して内臓も流れ出るわでバリエーション豊かなスプラッター描写が楽しめる。
ぶっちゃけ特殊メイクはどれも作り物感満載なのは否めないが、ここまで豊富なスプラッター描写に全力投球してくれたのは見事としか言いようがない。w


そして今作は狙ったボケと天然ボケが合わさり最強に見える…ってか見事なまでに絶妙な融合を果たした所為で頭がおかしくなって死にそうな超バカ展開のオンパレード!!!
厳密に言えば本作、ギャグシーンとマジなシーンの区別がつかず、狙ってやってるのか真面目にやってるのかの判別が付かないのだ。
例えば「ブレインデッド」とかに代表されるピージャクさんの初期のやりすぎスプラッター作品は意図的にバカをやっているのだが、今作の場合は意図的にバカをやりながらも制作者さん事態がマジモンにおバカだったばかりに真面目にしようとしてると思しき場面ですらもバカに見えてしまうのだ。

いや、後半のメチャクチャ展開を見るに”ある程度”は監督も狙ってバカをやってるんだろうが、それでも映像のクオリティや内容のショボさも相まって、わざとやってんのか素で分からずにやってんのか分かんなくなってしまうのだ。

特に前半は謎の教団に捕まってその軍団の狂気を垣間見るべきシークエンスなのだろうが、教団の描写がショボいし、仮面姿もアホ丸出しだし、チャチい特殊メイクのやりすぎスプラッターがあれよあれよと飛び出すので、全然真面目にやってるとは思えない。
(殺害方法もバラバラなので統一感というものが無い…。)
またレジスタンスの男の妻が教団に攫われ、儀式の生贄にされるという過去のシーンがあるのだが、その描写がやたら女の裸を収容に映し、前述したおもちゃをカクカク動かしたモンスターを映し叫んでる女性を写すというものなので、悲惨なシークエンスとして描いてるはず(もしかしたら違うのかもしれんが、俺には分からん)なのに、失笑ものな絵図となっているのだ。

こんな感じで、今作は何時も見てるやりすぎスプラッターとはまた違う、天然か意図的なのかよく分からないバカシークエンスに溢れているのだ。
掛け合いもふざけてるのか真面目にやってるのか分からなくなる場面が多い。

「運の悪いボケナスども!」
「この忌々しい尻に罰を!」

この癖のあるバカっぷりは、実際に見てもらった方が早いと思うぞ。w



なお、後半部からは間違いなく狙ってバカをやってる。

「なんでこの中華丼は生きてる!」「黙れ、ソーセージ!」

何の脈拍も無く、ゴブリンそっくりなBGMと共にゾンビが出てきて大乱闘になるシーンから急激にバカ度数が上がり、主人公と思われていた男達がアッサリ殺されたり、ニンジャが出てきて(アイエエエエエ!!!???)ヘボヘボカンフーで対抗するわ、教団の本部を「ランボー」シリーズを1兆倍安くしたようなドンパチシーンをぶち込み、完全にバカの極致と化す。
なお、狙ったバカ映画化する後半でも監督の天然っぷりは如何無く発揮され、鈍いカンフーなのにスローモーションを入れたり、ゾンビとニンジャの戦いが物凄いアッサリ終わって即刻切り替わったり、ロケットランチャーの球がどう見てもペットボトルだったり、盾を持った教団員が銃や弓でバタバタ倒れたり、男が死ぬ寸前に謎のカンフー映画風カットが挿入されたりと、相変わらず天然かそうなのかの区別が付かないのも流石だ。
因みに新しい主役やニンジャ役の連中、ランボーチックな大ドンパチで吹っ飛ぶ兵士等はそれなりにスタントして役者も動いているが、如何せん素人レベルなので動きが皆ぎこちないのは言うまでもない。wwwww

そしてクライマックスに至ってはポット出な連中が主役となり(主役感を出していた裏切者の男は殉死する(!?))、教祖達とのラストバトルが描かれるが…。

…すんません、流石にもう疲れたのでこっから先は皆さんの目で確かみてくださいませ。
もうこのレビュー書くのに3日も掛かってもうダメぽ…。
たった80分の映画の感想にどんだけ時間掛けてんだ俺…。



って訳でとんでもない狂気ととんでもないバカ指数、そしてとんでもないイカレっぷりを兼ね備えたもうとんでもなさすぎる映画だった…。
改めて再鑑賞しましたが、シュナースさんの作品でも一番有名なのが頷ける、とんでもないクレイジーな怪作であった…。

正直、凄い楽しめたのだが俺は脳内処理が追い付かずキャパオーバーを起こしてしまった。
とりあえず「どうしても見たい!」と言う方は、超Z級なのを覚悟の上で挑んでみてください。w
きっと、良くも悪くも見終わった後には凄い物を見てしまった感が残り続ける事でしょう…。





という訳でアンドレアス・シュナース監督作、鑑賞可能な範囲でみましたが、もう凄かったですね。
すっごい!狂ってます!!!wwwww
正直この狂いっぷりとアホっぷりは言葉では表せないので、スプラッター好きの方々は是非ともこのシュナースさんのクレイジーっぷりに触れて見たください。

(オマケ)私的シュナース監督作ランキング
一位…悪魔のえじき/ブルータル・デビル・プロジェクト(文句ナシのベスト!!)

二位…サバイバル・オブ・ザ・デッド(ロメロじゃない方)

三位…トレジャーゾンビ 蘇るテンプル騎士団の亡霊(シュナースさんにしてはマトモ)

四位…マニアック2001(記念すべき処女作、実は今作と話が繋がってるらしいが、どう繋がってるんだ?w)

五位…食人村 カンニバル(現時点でのワースト。「猟奇!喰人鬼の島」のリメイクらしいが、真面目過ぎたのが仇になったか。)