真っ黒こげ太郎

ゾンビマックス!怒りのデス・ゾンビの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

4.5
生きるために狂え!

『マッドマックス』MEETS『ゾンビ』!!

純度1000%のマッドネス・ホラーが誕生!!!!



ガソリン無ぇ! 武器も無ぇ! 人類ほとんど残ってねぇ!

オラこんな村ぁ嫌だ~♪ オラこんな村ぁ嫌だ~♪ 生き抜いて帰るだ~♪
(森だけど)



ある日の夜、流星がたくさん降ってきた。

…その翌日、世界はゾンビだらけになっていた!!!


平凡な整備工の男バリーは妹ブルックの連絡を受け、妻と娘を連れて必死に逃げるが、妻も娘もゾンビ化し泣く泣く2人を手に掛ける。
そのまま自害しようとするが、銃代わりのネイルガンの釘が尽きてました。

\っておおおおおおおおおおい!!!!!/

その後色々あって生き残りの人々と合流し、妹を助けに行くことに。
だが、流星の影響からか、急にガソリンやライターのオイルが効力を発揮しなくなってしまう。
そんな中、ゾンビの血が可燃性の燃料になる事が発覚!!!
早速車を世紀末なゾンビエンジン式装甲車に改造し、世紀末な手作り防具でフル装備して出発!!!


一方、ゾンビに襲われていたブルックも謎の組織に捕らえられ、如何にもなマッドサイエンティストにゾンビの血を注射されてしまう。
だが、その影響でブルックは突然変異してゾンビと感覚を共有し操る能力を得ていたのだった!!!




ゾンビまみれになった世界で、生き残った人々の壮絶な戦いを描いた、オーストラリア産の世紀末・ゾンビ・アクション・ホラー!!!
ズバリ「マッドマックス」×「ゾンビ」な、如何にもなB級映画的組み合わせながらあちこちで高い評価を得た作品。

本家「マッドマックス」シリーズを追いかけてる最中ではありますが、同じシリーズを見続けても息切れしそうなんで、折角なんで亜流や便乗作等も漁っていこうかなと。
…逆に息切れしてシリーズ追いかけが遅れそうだって?それもそうですね(白目)


という事で今回は『マッドマックス』MEETS『ゾンビ』!!!な今作を。
最近になって続編って分かるかい!な邦題で続編もリリースされたのでちょ~どええかなと。
(レンタル落ちですがDVD所持。)


公開時期からして本家シリーズの新作に便乗してリリースされたのは明らかだし、邦題も実にパチモン臭い気配が漂いまくってる本作。
しかしこれがどっこい、蓋を開けたらゾンビ映画としても「マッドマックス」便乗作としても良く出来た快作で驚いた!!!


話に関しては「攫われた妹を捜す為、危険な街サウスタウン…じゃなくてゾンビや怪しい組織だらけの森に乗りこむ」っていう割と王道な話。
だが、かなりぶっ飛んだゾンビの設定やマッドマックス的アクション、そして意外と纏まっていた内容や勢いも相まって、最後まで勢いよく楽しめる。

開始早々、流星でゾンビパニック発生→主人公家族逃走→妹が組織に捕まる→家族感染!!と開始20分でハイテンポで物語が展開!!!
身内の死人も出まくるし、酷い扱いの生存者とかも居たりするが、登場人物は基本的に後期の「ドラゴンボール」張りにドライな性格なのですぐ立ち直るし、問題に直面しても「とにかく行動!」な精神で突き進んでいくので潔くて良い。
(精々妻子が死んだ主人公が自害しようとする位。因みに世紀末の動乱の中で主役の妻子を失うのは本家オマージュだろうか。)

主人公達はゾンビ相手に自家製の装甲車や如何にもな世紀末的全身アーマーで武装!!!
ゾンビ軍団や如何にもな悪の武装集団相手に世紀末フルアーマーで立ち向かう!!!
銃撃、カーチェイス、殴り合い等、アクション描写はベタだが、後述するゾンビ設定を活かしたアイディア描写やテンポの良い編集&演出、そしてあちこちに張り巡らされたケレン味のある演出等が上手く織り交ぜられ見てて楽しい。
装甲車でのカーチェイスやショットガンぶっ放し等、ちゃんとマッドマックス的なアクションもあるよ!


また、ゾンビの設定もかなりぶっ飛んでおり、「血液型がRHマイナスの人以外は噛まれなくてもゾンビ化する」「石油等のエネルギーをゾンビが吸収し、ゾンビがエネルギーを放出する!!!」「ゾンビが放出したエネルギーで車のエンジンが動く!」「夜になるとゾンビがエネルギー放出しなくなって活発になる」「実験台にされた妹がゾンビと同調できる能力を得てゾンビを操れるようになる!!!」等、かなりぶっ飛んだ設定のオンパレード。

しかもその設定は単なる一発ネタに終わっておらず、「車を動かす為には生きたゾンビを捕まえなければならない」「夜の間は車が動かせないので、装甲車内でゾンビの襲撃を耐え凌がなければならない」「悪党をゾンビに噛ませたり、死にかけの味方が敢えてゾンビに噛まれて操られる事で窮地を脱する」等、しっかりとゾンビの設定が戦闘描写やサバイバル描写に活かされてるのも素晴らしい。

「ゾンビを操れるようになるのはやり過ぎだろう!!!」という声もありそうだが、操ったゾンビが銃等の武器を扱うようになったり、ゾンビが単なる敵ではなく頼もしい存在になったりする展開は「死霊のえじき」や「ランド・オブ・ザ・デッド」とかを思い出して、製作者なりのロメロさんオマージュを感じた…ってのは流石にこじつけすぎ&考えすぎかwww
(そういえば「ランド・オブ・ザ・デッド」でも装甲車を使ったアクションがあったな)



そんなこんなで、「マッドマックス」な世界&無茶苦茶さを踏襲しつつ「ゾンビ映画」の王道&ツボを抑えた展開をしっかりやったら、意外としっかり纏まった内容なっていた本作。
バカでケレン味ばかりな内容だけに留まらず、設定やゾンビサバイバル要素もしっかり練られた上でしっかり面白く見せており、ただの脳筋バカ映画に終わってません。
(バカ映画には違いないがw)

とはいえ、ぶっちゃけメインの舞台は8割は(多分近所の)山道や森の中オンリー、一部のVFXも安っぽい等、あまり気にならないとは言え低予算を感じる部分もあるっちゃるので人によっては気になる所か。
ゾンビのお食事とかの血みどろグロ描写はあるにはあるが、あまりそこには注力してないのか、グロも多い割にドライ気味な描き方が多いのでガチガチのスプラッター好きには少々物足りないか。
(その分、マッドマックス要素や真面目なゾンビサバイバル要素で勝負したって事なんだろうけどね)

私的には、マッドマックス的なカーチェイスが中盤に固められているのでクライマックス山の中ですったもんだしてるだけにしか見えないのはちょっとスケールダウンした感があってそこは残念。
(ラストバトルも殴り合いだしw)
まぁ、きっと予算の都合だろうからそこはしょうがない。


後、日本語吹き替えでは偶にヘンなアドリブが入ってたりするのは人によっては気になるかも。
まぁ、JVD配給作よりはマシだが。w

「ついて参る!」

「いあないないばぁ~!!!!」

「ゾンビマァ~~~ックス!!!!(装甲車を飛ばしながら)」

「お前らの血は何色だ?(世紀末繋がり)」

「キメるぞ!」「キマった!」(武装する主人公一行、ノリノリである)

「首をチョン切るなら、日本刀が一番で候!!!」



って事で、マッドマックス便乗作としてもゾンビ映画としてもしっかり作りこまれ、両方の要素も上手くミックスされたB級娯楽映画の快作。

予算がなくともいい物は出来る!という心意気や気合が作品にしっかりと反映された会心の一作です。


因みに本作はあっちでも評価されたようで、テレビシリーズや続編も制作されました。
さっきも言いましたが、続編は「こんなん分かるかい!」な邦題で国内配給されたけどな!!!w