このレビューはネタバレを含みます
若松監督映画祭りで完全にノーマークで観たら撃ち抜かれた
ひとつ展開するとこれまでの物語の見方がまるっと変わってしまいそうな脚本の立て方が見事
戦時中の「献身的な妻」を演じなければならないという周囲からの圧力とそれを利用した気持ちからくる承認欲求、夫に逆らえなかったという恐怖と怨恨、この人は自分が居ないと生きられないという気持ちからくる支配欲と母性、それぞれが一人の人間から湧いてくるからこそ見えてくる生活というかが…
それぞれ単独で見ると相反するようで一人の人間から出てくる感情として描ききったことでよりこちらの想像力を掻き立てさせられたし、何よりそれを表現した寺島しのぶが見事すぎる まさに怪演
大西信満の演技も見事で、PTSDを起こすシーンも日中戦争で村を襲い犯すシーンも妻を罵り暴力を振るうシーンも、そして出兵する時に爽やかな青年であることの振り幅も含め本当に恐ろしかった
久蔵がPTSDを発症することにより、シゲ子の身体を求めることの意味がふた通り解釈できそうな(戦争中の興奮状態の想起、暴力的な夫としての姿)つくりもまた見事…
語ることが出来なくなった久蔵は何を考えていたのか?
敗戦を知り入水を選んだのは何故なのか?
戦争について考えさせられる内容で、観れてそして知れて本当に良かった