真っ黒こげ太郎

ハート・アタッカーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

ハート・アタッカー(2007年製作の映画)
4.5
観る前:何故かダイエットDVDの予告が流れだしたwwwww
誰が見るんだwwwww

観た後:どうしてこんなことに…。




とあるイラクの郊外の街ハディサで職務を務めていた海兵隊の若い兵士たち。
しかし、イスラム系のテロ実行犯達によって路上に仕掛けられた地雷によって米軍の車両が爆破され、一人が死に、二人が重傷を負ってしまう!

怒りに燃える兵士たちは街中のテロリストが居たと思しき場所を手当たり次第に襲撃していく。
街中で兵士たちによる悲惨な虐殺が繰り広げられるのだった…。





実際に米海兵隊がイラクのハディサという街で起こした虐殺事件を描く、フェイクドキュメンタリー風の戦争映画。
もう見るからに、既視感のあるジャケですな。www
ってか、今回本気で紛らわしいな!!!!!wwww


ここまでそのまんまだと、配給会社に何でこんなジャケにしたんだと聞いた際に、「「ハート・ロッカー」に便乗したかったんです!便乗すれば売れると思いました!」と笑顔で元気に返答してきそうな気もします。w
(人によっては、返答してきた人にグ―パンチするかもしれませんが。)

まぁ、俺も「ハート・ロッカー」に便乗して勢いで借りちゃったので人の事言えないけどな!w




しかし、これが物凄い重い話で驚いた。
こんなパチモンのタイトルからは想像もつかないくらい。
むしろ「ハート・ロッカー」の方がまだ救いがあると思うほどに…。

しかも本作は、実際にイラク西部ハディサで起きた虐殺事件を元に描かれた実話なのだ。
映画として着色されてる部分はあるかもしれないが、今作で起きた悲劇は紛れもない事実だ。



お話はそれぞれ、兵士、テロリスト、一般人の様子を描く群像劇。

兵士は見張りをしたり、訓練を重ねたり。
テロリストは爆弾を仕入れ、計画を進める。
一般人は、買い物したり、家族や恋人と過ごす。

しかし、彼らの日常や人生が段々と交差し、混ざり合ってゆく。
それも悪い方向で。

特に50分過ぎからの内容は、悲惨の一言。
住民たちは有無を言わさず撃たれ…
恋人を探す男をゲーム感覚で撃ち殺され…
逃げ出そうとする人々もドローンで…


だが、誰が悪いとか、誰が良いとか言えないもの辛い。

テロリストの男も、若い兵士も、もう少し考えて行動すればいいのに…。
お互いに悲惨な結果になってしまった…。


誰が悪いか、誰が良いかは誰にも言えない。


かなり重い作品だが、パチモン臭い邦題に惑わされず観てほしい逸品。
多くの人が観るべき現実。