これは自分が見るしかないという、使命感でamazon.UKからDVD取り寄せ(リージョンゼロ、英語字幕なし、というやる気のない盤)。ダイアローグほとんど分からないまま、しかし、とても楽しく見終わった。
ナショナルエンクワイアラー的な三流新聞のレポーターであるアメリカ人二人が、怪奇実話の取材目的で、ルーマニアの例の地方を目指し、「TRANSYLVANIATRANS」と大書された観光バスで、のどかな街の小ぎれいな広場に到着する。
「トランシルバニア……いいとこだね」「いいとこだ」
レポーターの一人、ボケ役のエド・ベグリーJrが、広場に面したホテルのフロントマンに、さっそく耳打ちする。
「さいきん、なにか起こったという話をききませんか……その、フランケンシュタインについて」「……ププッ笑」
この到着の場面だけで、この映画の基本的な性格である「人の良さ」のようなものが示されていて、つまり、この映画では「悪いこと」は何も起こらない。そして、本当に何も起こらない。
レポーターの二人は、あやしい古城ホテルに泊まるのだけど、そこのベルボーイが、ずっと偽の手や偽の足で笑いをとろうとしているのが意味が分からない。
部屋の本棚に偽装された隠し扉を開けると、中にそのベルボーイがいて、木馬にのっている。
「……そこで、何をやってるんだ」「瞑想」
マッドサイエンティストの博士が二重人格で、人格が変わるとき、自分で髪をグシャグシャッとやって入れ替わる(自分でやってるやん)。古城ホテルの城主で市長のほとんど出ずっぱりのジェフリー・ジョーンズがとてもおかしく(キャリア的には「アマデウス」の翌年)、ヴァンパイヤ役のジーナ・デイビスも半乳出してがんばってる。ジェフ・ゴールドブラムがいちおう主役だけど、彼はほぼ何もせず、例の見開かれた目で、おかしそうにあたりを見回しているだけ。
これは好きな映画。見る機会があったらぜひ見てほしい。世界的に評価は低いです。