こぅ

偽証のこぅのレビュー・感想・評価

偽証(1947年製作の映画)
3.8
60/'22

【Tメン】のジョン脚本&アンソニー・マン監督コンビによる
、実話ベース【フィルム・ノワール】。


『この頃の作品はどれも出来が悪いんだが、【偽証】は
その中でも個人的な意味で悪いかな。
つまり、あの映画の欠点は全部、私のせいだ。』
アンソニー・マン


美容院の経営者、クララが手引きをして、彼女の彼氏が強盗を
図る。相棒が撃たれて警官が死んだが、逃走用のバンの持ち主
スティーブに罪をかぶせた為、彼の姉ロージーが弟の無実を
晴らす為に立ち上がる…。

実際にあった 免罪事件 を取材した記者の証言を基に製作され
た。


冒頭、[クララ・カルホーンの美容室]から無駄を省いた犯行
をみせ、その後もテンポ良く転がる。

犯人探しのサスペンスでは無く、判明させた上で、捜査を
辿るタイプに、本作は誤認逮捕、濡れ衣晴らしに当人の姉の
奮闘を加味した脚本が珍しい(ユニーク)。

警察の捜査の一環として、
銃を撃った直後の洗う前の手から火薬の痕跡を得られるという
【パラフィン試験】が見られるのも珍しい。

主役(刑事)よりも犯人や姉のキャラが濃く、出番も多い為に
メリハリが出ていないのが脚本の難点。
特に姉のロージーは、ファムファタ級の強気な美女キャラで
印象強く、この際、彼女が主役でスポットを充てたシナリオに
仕上げても良かったのでは⁈

警察の【無謀と無能と無配慮】が目立った(誤認逮捕、証人
無保護など)。

カメラワークは良いが、暗いパートでのライティングが不足。

総評
監督や製作側が 失敗作と位置 すれど、気無しに観たら普通に
面白いパワフルサスペンス。
短尺でも手堅く整理された脚本で、サスペンスとしての面白味
を出した上、本筋の邪魔にならない程度の 硬派ロマンス を
仄めかせておいて、ラストに結ぶのは悪くない。


*同じ題材で、翌年、H・ハサウェイ監督による、【出獄】
がある(未見)。
こぅ

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