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不審者のzhenli13のレビュー・感想・評価

不審者(1951年製作の映画)
4.2
行き着く先が凄まじ過ぎる…最初からすべてをしくじっていて、同情できることが1ミリも無い。
イギリス以前のジョセフ・ロージーを今回の特集で初めて観たけど、本作は終始いやーな感じといい、警官役のヴァン・ヘフリンが最初から粘着で最後まで救いようのないクズなところといい、さすがとしか言いようがない。脚本がダルトン・トランボとアルドリッチ組のヒューゴ・バトラー。脚本容赦無いよ。助監督 ロバート・アルドリッチのクレジットは嬉しい。

ヴァン・ヘフリンとイヴリン・キース、両者ともに選択を悉くしくじっている感じが哀れ。同情かつ共感できるところが全く無くてすごい。新婚旅行が自分たちのモーテルで、別々の小さなベッドで寝て外からは車の騒音がずっと聞こえてるのとか、寧ろいたたまれなくなる。

ゴーストタウンのシークエンスになると最初の展開からは想像もできなかった風景に観てるほうが怯む。ある意味究極のロードムービー。
壁が大きく崩れたままの廃屋で流すレコードから、突然キースの殺された夫の声が聞こえるシーンの凄まじさ。廃屋には夜になると当然暴風が吹き込み、この人たちは一体何をしてるんだろうと呆気にとられる。
ヘフリンが逃げようもないボタ山に登ってまで、最後の最後まで逃げ切ろうとあがいてるのも哀れだしその画がまたすごかった。
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