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新女囚さそり 701号のblacknessfallのレビュー・感想・評価

新女囚さそり 701号(1976年製作の映画)
3.3
多岐川裕美のさそりがあるのは知ってたけど、観るのは初めて。

仕方がないことだけど梶芽衣子さんの峻厳としたオーラ、怨みを具現化したようなある種の人間離れしたカリスマ性をまったくタイプの違う多岐川裕美が継承することは不可能だよね。
だから、多岐川裕美のさそりは超越性を捨てて、ひたすら多岐川裕美の可憐な美しさに寄り添った男に利用され修羅になる普通の美女として演出されていた。

監督も伊藤俊也じゃないせか旧シリーズにあったおどろおどろしいドギツさや前衛的な演出はほぼ無くなった。引き継いでるシーンはあるけど必然性に乏しくパンチもなく"さそり"だから撮ってみました感が半端ない。

ストーリーも同じように男の利用され裏切られるさそりの復讐劇で、オリジナルと同じように男=権力、そこから政治、社会、国体の在り方を批判するような奥行きを持たせているけど、何かやっぱり薄味で本気を感じないんだよな、、笑

全体的に薄味な中で唯一濃かったというか、インパクトがあったのが女性刑務所の囚人ボスが浅香光代だったこと。
浅香光代は女剣劇の大家というおれに取ってよく分からない肩書きの人で野村沙知代とケンカしてたイメージしかないから。
俳優としてこの映画に出てたことに驚いた。
刑務所所長の命令で多岐川裕美を虐待しまくるんだけど、その時のキレる演技が野村沙知代とケンカしてた時にワイドショーとかで見てたあの感じのままなんだよ。
「なんだい!甘えんじゃないよ!」「よくもやったね!」「許さないよ!」とかいつもの感じで怒りまくってるのがおもしろかった😂

多岐川裕美は梶芽衣子さんのような人間離れしたオーラはないと言ったけど、その端正な顔立ちはフランス人形のようで全てのショットが美しく梶芽衣子さんとは違ったベクトルで人間離れしたオーラを放ってた。
なんて美しいんだと😍
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