真っ黒こげ太郎

キング・オブ・バイオレンスの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

3.6
このジャケ&「死霊のしたたり」の監督&初期のThe Asylum制作!

間違いない、これはグロゴア系映画やな!(死亡フラグ)



何でも屋として生計を立ててる青年ショーン・クローリー。
彼は仕事で知り合った男を通して、彼の”ボス”からとある会計士を尾行する仕事を受ける。

無事仕事をこなすが、今度はボスから会計士の男を殺す依頼を受ける。
大金の報酬を条件に男を殺害するが、報酬の支払いを断られた挙句「お前は蟻コロだ!」「町を出てけ!」と怒鳴られる。
ショーンは事件の証拠を隠してボスとその仲間達に対して強気に出るが、それが災いして農場に監禁され、ボス達に激しい暴行を受ける。

精神崩壊寸前になりながらも、どうにか逃げのびたショーン。
ボロボロになったショーンを助けたのは、何とショーンが殺した会計士の妻だった…。



悪党に利用された青年が、悪と暴力に塗れてゆくバイオレンス映画。
監督は「死霊のしたたり」「ドールズ」「DAGON」等を手掛けた名監督、スチュアート・ゴードンさん。

The Asylum制作だけど血みどろホラーに定評のある監督だし、ゴミ映画だとしてもそれなりにスプラッターな見せ場が拝めると思って見たのだが…。


…思ったより地味で真面目な内容だった。

ってか、ここまでお膳立てされておいてグロゴア映画じゃないってうせやろ…。


本作、100分台とThe Asylumの映画にしては長尺だが、ストーリーは起承転結がしっかりしてるし、「自業自得のダメ人間が、小さな世界で王になる(原題はそのまんま”蟻の王”)」という描かれる焦点も定まっているので、何時もの便乗ゴミ映画に比べると苦痛なく見れる。

主人公は思いっきりプー太郎で、便利屋と言えば聞こえは良いものの、悪党達を前に思いっきり調子に乗り、殺した男の家族の善意を平然と受け入れる。
拷問されて精神崩壊する点は気の毒っちゃ気の毒だけど、ブッチャケ自業自得だ。
更には殺した男の家族になろうとして、ますます救いようがない。
(最終的にはバレる。)

そんなゴミ野郎も、暴力の世界で勝ち抜き、蟻の王となる。
ここら辺のドラマを面白く見られるのは、流石のスチュアート・ゴードン監督だと思う。


しかし、思ってた内容と違ったのもまた事実。

肝心のグロゴアはどいつもこいつも地味で、凍らせた死体の首をチョンパして燃やすシーンや主人公の悪夢に出てくるクリーチャーは良かったけど、それ以外は余り特筆できるようなグロは無い。
拷問シーンはゴルフクラブで殴るだけだし、最後の復讐もハンマーで殴ってガソリンで燃やして終わり。
一見絵面はバイオレンスだが、全然グロが食い足りねぇ!
リアルと言えば聞こえはいいけど、まだ他のThe Asylum作品の方がグロ度は高かったぞ。
(「FREAKSHOW フリークショウ」とか「デッドマンズ・プリズン」とか。)


ストーリー自体も、ゴードン監督の手際のお陰で面白く見れるけど、結局はクズ野郎のプー太郎(爆)がサイコ野郎になってゆくだけだからなぁ。w
ラストの復讐劇も地味だし、もうちょっとどうにかならんかったんか?


そんなこんなでいつものAsylum作品に比べれば見どころはあるけど、邦題から想像できるようなバイオレンス祭りを期待したらガッカリしてしまう様な本作。
役者は主役の新人から脇役のベテラン(白髭オヤジがベネット役の人!w)まで演技はしっかりしてるし、ベテラン監督の演出も頑張っているけど、よほどのスチュアート・ゴードンさんファンじゃないとオススメ出来ないかも。

監督としてはリアルな暴力劇を書きたかったのかもしれんけど、何でこんな地味な内容にしてしまったのやら。

やはりアレか。
近くにブライアン・ユズナさんが居ないからか!w