ボチボチ。『M』に感じたコンティニュイティを妨げない物語進行のうまさは健在だったし、ラーキンがついに暴行へと至る酩酊感を表現するのに彼女がふらつくショットに排水溝へ螺旋状に水が流れ込むクローズ・アップを二重露光するのはヒチコック『サイコ』に先んじていた。
脚本全体でよく言えば余剰が多く、殺人に手を染めたかどうかは藪の中、としたほうが面白くなるはずがラスト10分ほどでお仕着せのように真犯人を登場させ、確執があったはずの新聞記者リチャード・コンテとの恋愛を望む無茶な展開になるのはどうかと思った。
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