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戦場からの脱出のバナバナのレビュー・感想・評価

戦場からの脱出(2006年製作の映画)
3.4
実話物です。正直、地味なベトナム戦争の映画なんですが、主人公のディーター・デングラー氏のことを後からウィキったところ、なんとこの人、元々ドイツ人だったんです。

どういう事かといういと、まだ第二次世界大戦当時、彼が5歳の頃、ドイツに住んでいたデングラー少年は、自宅を爆撃しようと低空飛行してきた連合軍の爆撃機を屋根に登って真近で見てから、必ずパイロットになってやると決意。
大人になった彼はアメリカに移住し、パイロットになる為にアメリカ海軍に入隊したのだそうです。

で、話を作品に戻すと、アメリカ海軍に入隊して、無事戦闘機のパイロットになったデングラー氏は、ベトナム戦争初期にベトナムへ派遣されたものの、初めての出撃で、自分の乗った機が被弾して墜落し、ベトコンの捕虜となってしまったのです。
本作は、彼がベトコンの牢獄から脱出するまでを描いています。

彼のこれまでの生い立ちを書いただけでも、すごく行動力のある人だと分かると思いますが、彼が捕虜となった場所には既に2年半前から捕虜になっていた民間アメリカ人が5人も居たのですが、脱獄計画を初めて計画したのも彼だし、他の皆を引っ張っていったのも彼なのです。

本作は作品自体にはあまり波がなく、正直それ程面白くはなかったのですが、この、どんなに悲惨な状況の中にあっても諦めない、デングラー氏の前向な姿には感服しました。
こういう生命力の強い人って、本当にいるんですね。

もし私の若い頃に、彼の1/20でもバイタリティーがあれば、今頃はもっと違う人生を送れていたのかもしれない…と、羨ましく思ってしまいました。

本作は2006年の製作なのですが、きっと実話であっても、
アメリカが加害者と思われているベトナム戦争の映画で、ここまで前向きな人間を主人公にして製作するのは憚られ、映画化されるまでに、これだけの長い時間がかかってしまったのだろうな、と思いました。
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