こたつむり

ファイブ・バンボーレのこたつむりのレビュー・感想・評価

ファイブ・バンボーレ(1970年製作の映画)
2.6
♪ 夏 夏 ナツ ナツ ココ ナツ
  愛 愛 アイ アイ 愛ランド

ミステリと言えば。
閉ざされた雪山の山荘、因習に縛られた山奥の村、豪華客船の船旅…と色々な舞台がありますけど、忘れたらいけないのは絶海の孤島。このシチュエーションだけでご飯がお代わりできます。

その原点は『そして誰もいなくなった』。
登場人物以外が関与できない場所で、全員が死んでしまう…という謎が“灰色の脳細胞”を刺激してくれる作品です。名作中の名作ですよね。

そして、本作はそれを下敷きにした作品。
孤島の別荘に集まったセレブ達がひとり、ひとり…と殺されていく展開は、まさにミステリの王道。悲鳴を上げても救いの手はやってきません。犯人を捜すしかない…んですが。

登場人物を把握できないのです。
名前もよく分からないし、特徴づけも中途半端、それでいて夫婦以外の繋がりもあったりして、誰が死んで誰が生き残っているのか…全然分かりません。

特に女性陣は美人ばかりですからね。
場面に応じて服装や髪形を変えたら、誰が誰だか分からなくなるのは必然。唯一、ミニスカでパンチラしてくれる娘が分かるくらい…ってパ、パンチラで覚えたわけじゃないからね!

それでも、中盤には何となく分かってきます。
殺人が繰り返され、生きている人も減っていきますんで、理解は容易なはず。勿論、誰が死んだのか、誰が怪しいのか、と考えると頭が痛くなりますが。

まあ、そんなわけで。
イタリアンミステリ“ジャッロ”の雄、マリオ・バーヴァ監督の作品。素材は良いものの、役者さんに馴染みがないと敷居が高いです。あまり初心者向けじゃないかも。

でも、70年代っぽい演出は一見の価値あり。
冒頭のセレブたちのパーティからして、土曜ワイド劇場を彷彿させる雰囲気ですし(本作が源流なんですけど)。こういうゴテゴテした感じを観るにはちょうど良いですね。

というかですよ。
もっと70年代の作品を配信すべきです。
それは映画に限らず、ドラマも同様。土曜ワイド劇場で言えば『明智小五郎』シリーズは容易に観ることが出来ますが、それ以外にも面白い作品はいっぱいありますからね。時代に合わない描写があっても、それは歴史の勉強だから仕方がないのです。
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