爆裂BOX

クライヴ・バーカー ヘルゾンビの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.8
突如、世界中で9歳以下の子供達が昏睡状態に陥る。新生児までも昏睡状態という異常事態が10年続いたある日、子供達は一斉に目覚めるが…というストーリー。
クライヴ・バーカーの名前があるのでてっきり原作かと思ったんですが製作だったんですね。
ストーリーは目覚めた子供達が大人達を惨殺し始めるという「ザ・チャイルド」の様な展開ですが、子供達が殆ど18歳以上なので反撃して殺しても「ザ・チャイルド」の様なアンモラル感は無いですね。無邪気に襲って来る様が怖かったあちらと違ってこちらは無表情なのであの怖さもないです。どちらかというと「光る眼」の方が近いですかね。主人公の推測ではあるけど、一人が学ぶと全体も学ぶという所や、常に全体で行動する所などもそれっぽいですね。
タイトルにはゾンビとありますがゾンビではないので撃たれたら普通に死にます。また、車を壊して脱出の足を奪ったり、銃を撃ってきたりするのも厄介です。ただ、病院での攻防や脱出シーン等はゾンビ映画っぽいです。
殺戮シーンや残虐シーンはないですが、殴り殺されて顔が変形した死体等はインパクトあります。
前半のいきなり子供達が昏睡状態になりパニックに陥る様や子供を作る事を禁止する法案等終末感が感じられ緊張感あります。また、子供達が定期的に一斉に痙攣するシーンで痙攣する子供たちの横で職員が笑いながら雑談するワンショットはこれがもう日常になっているんだな、と感じさせて上手いです。
ヒロインの弟がシーツを伝ってダクトを降りようとして下で子供達に襲われ、慌てて上に戻って子供達が上ってくると思って急いでシーツ解いたら実は生存者で落としてしまう所の嫌~な感じ良いですね。
ヒロインの後半のブチギレ反撃ぶりも良かったですね。ノーガードで銃撃ってくる子供達にヒロインもノーガードで撃ち返す所ちょっと笑ってしまいました。昏睡状態に陥らず子供達に仲間だと思われて生き延びてた19歳のカップルの彼女の方も家族殺されてヒロインと同じくやる気満々で、彼氏と主人公の男二人は付いていけない感じの温度差が面白かったですね。あのカップルももうちょっとうまく使っても良かったんじゃないかな。
ただ、最後のオチが曖昧で残念です。主人公のトムが読んでいて兄にも勧めたり、最後に子供が持っている小説「怒りの葡萄」を読んでいれば理解できるのかもしれないですが、僕は読んでいないので分らなかったです。
全体的にまじめに作られている作品だと思います。ただ、このタイトルは何とかならなかったのか…