爆裂BOX

呪い村 436の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

呪い村 436(2006年製作の映画)
3.8
国勢調査員のスティーブは人口調査の為、ロックウェル・フォールズという村を訪れた。穏やかで犯罪もなく、のんびりしたムードに包まれた村で過ごすうち、スティーブはなにかおかしさを感じ始めるが…というストーリー。
人口が436人のまま固定されている町に国勢調査のために訪れた男の恐怖を描くホラー。
調査を進めるうちに、村の人口が436人のまま推移している事や、村を出ようとする人が謎の熱病にかかってしまうなど、不審な点に行き当たる。そして滞在中に村祭りを迎え、彼は衝撃的な真実を知る事になる、という内容です。
「2000人の狂人」や「ミッドサマー」、「ウィッカーマン」のようなキ×ガイ村や因習をテーマにしたホラーですが、全体的に派手なスプラッターシーンもなく静かで地味な作品ですが、演出がよく最後まで引きつけられました。
人口が436人のまま増えることも減ることも許されない掟で縛られた町の雰囲気がいいですね。親切で優しい中にそこはかとなく異様な雰囲気が漂っています。何てこと無い挨拶のシーンもこっちは向こうを知らないのに向こうはこっちを知っているという状況が怖いです。道行く人が気軽に自分の名前呼んで親し気に挨拶するシーンも、最初は穏やかで親切な村だなと思えたのが、村に違和感を感じ始めてからは一気に不穏な物に見えてきます。祭りのシーンもにこやかに踊りながらも主人公をチラチラと見ていたり、人口を調整する為の処刑も処刑される女性がにこやかなのが不気味です。
「クライモリ」等に出ていたジェレミー・シスト演じる主人公の感じる誰も信用できない孤立感と、脱出できない絶望感もいいですね~。
主人公に協力してくれるこの町から脱出して都会へ行きたいと考えているコートニーを演じたシャーロット・サリヴァンも美人で良いですね。彼女の末路は悲しかったな。彼女に想いを寄せて、主人公と友人になる警官ボブの村の掟と友情や愛情に揺れる複雑なキャラも良かったですね。スティーブとコートニーが寝てるシーン目撃したする所は可哀想だった。
掟を信じない者には無免許医師によってロボトミー手術が施される設定も怖いです。でもグリーバー医師のロボトミー手術は廃人にすることなく從わせることが出来る事を考えると結構優秀なのかも?病院の地下にいた一家?(本当は家族じゃないのかもだけど)の完璧に洗脳された感じも不気味でした。
廃車置き場のような所にズラッーッと車が並んでる所も、今まで一体どれだけの人がこの村に囚われたのかと想像させて怖いですね。村人の殆どこの村にちょっとだけ滞在するつもりで立ち寄った人なんじゃないか?スティーブの脱出に力貸してくれた人みたいに。
DVDには別エンディングも収録されてますが、本編の方が「本当に神はいたのか・・・?」と思わせるオカルト的なラストで好きですね。
数字や理由について少々説明不足な感もありますが、派手さのない静かな展開ながら楽しませてくれる良作でした。このいかにも安っぽいC級ホラー想像させる邦題に惑わされずに見てほしいですね。