真っ黒こげ太郎

ザ・リッパーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

ザ・リッパー(1982年製作の映画)
4.4
殺人鬼の声がもうドナルド・ダックにしか聞こえないんですがそれは…。

つい殺っちゃうんだ☆ …ってそれは別のドナルドだ。w




ニューヨークの片隅で飼い犬と戯れる老紳士。
彼は木の枝を投げて取ってこい遊びするが、犬が加えてきたのは腐敗した人間の腕で…。


ニューヨークの町で、若い女性を狙った連続切り裂き殺人事件が発生する。
その犯人はアヒルみてーな声で鳴きながら、女性器を中心に刃物やガラスで切り裂くのだ。

この事件に挑むフレッド・ウィリアムズ警部補だったが、この大都会ニューヨークでは血液などで犯人を絞り込むことは困難。
挙句そのアヒル声な殺人鬼に電話で挑発される始末。
フレッドは精神科医のデイビス博士に協力を依頼し、デイビス博士のプロファイリングを元に犯人を絞っていく。

そして唯一足を切り裂かれながらも生き残った女性フェイの証言から、片手が3本指で女たらしな男が容疑者として浮かび上がるが…。




ニューヨークの街を舞台にアヒルの様な声を出す連続殺人鬼の恐怖を描いた、エログロ・スプラッター・ミステリー・ジャーロ映画。
監督は「サンゲリア」「ビヨンド」等を手掛けたイタリアンホラーの巨匠、ルチオ・フルチさん。

最近までネットレンタルでも見れなかった作品だが、最近になってUHDマスター版がネットレンタルの商品欄に並んだので、お取り寄せ鑑賞。


今作、フルチさんのファンの間ではそこまで評価が高くないらしいんですが、俺はそうは思わんかったですね。
寧ろ良い塩梅にエロとグロと80年代を楽しめる、良い映画だと思います。


お話は単純で、殺人鬼の凶行とそれを追う刑事と精神科医のアレコレが描かれるという、一見まともなサスペンス物。
ですがまぁそこはフルチさんの監督作だけあって、刑事たちの捜査や謎解きといったアレコレは味付け程度に済ませ、メインとなるエロとグロを重視して見せるという、実に”解ってる”内容であります。www
女性陣はガンガン脱いで濡れ場を演じ、殺人鬼は兎に角血みどろに女性を殺すという、正にエロとグロの見本市。w

スプラッター描写は刃物で切り裂くだけなんでそこまででは無いですが、肌を切り裂かれる殺害シーンをしっかり見せてるし、血の量も多い。
特に終盤に行われるカミソリでの切り裂きは何とも痛そうでヤバいです。
(因みにここでフルチさんお得意の眼球破壊も炸裂しています。)
派手な人体破壊とかは無かったけど、スプラッター的にはそれなりに満足出来たと思う。

サスペンス要素に関しては…まぁそれなりに纏めてはいたと思います。
誰が犯人かというミステリー要素のお陰かまぁまぁ見れるかな。
…実は途中で「こいつが犯人かも」って思ったりしたけど、まさか当たるとは思わなかったが。w
まぁ、犯人の動機付けがイマイチ薄かったり、殺人シーンを描くのがメインな所為で、主要人物の刑事と精神科医が殆ど役立たずになってしまってるのはどうかと思いましたが。w
(最後に美味しい所だけ持って行った!!!w)

後、個人的には80年代感溢れるサウンドが愉快でした。
一見、やけに陽気な曲で本編にあってないような感じもするんだけど、そのギャップがまた古き良きホラー感がして良い…って伝わるかな?w



ツッコミ所は多いし、登場人物の書き分けが足りなかったり、たるい所もあるけど、エログロ成分は補給できたし、80年代血みどろホラーとしては普通に満足できました。
スプラッター描写やエロス描写といった見せ場は多いし、お話も悪くないし、テンポも中々良さげなので、昔のジャーロ(ジャッロ)映画にしてはかなりとっつき易いと思います。

UHDマスター版が出たとの事でネットレンタルでも借りやすくなってると思うので、興味があればどうぞ~。