チキモフウリバン

アンディ・ガルシア 沈黙の行方のチキモフウリバンのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

今作はタイトルでアンディさんのファンが見るヤツなのかなぁと違和感が強かったが、楽しめたし考えさせられました。

子供の自殺を防ぐにはどうしたらいいんだろう。子を持つ親にとっては特に重たいお話でした。
他人事ではなく我が子にも起こり得る事なので、真剣に考えるキッカケになった。

今作の父ちゃんは心理学者なだけあって割と愛情を注いでいて思春期の息子にしては良好な関係だったと思う。
心理学者であっても息子の心の闇を見逃してしまうので一般の親はそれ以上に難しいだろう。
最後出かける前になんて声を掛ければよかったのか。悔やまれます。
子共との信頼関係をもっと密に深めるべきだったのか、子供が自殺しないような前向きな性格に育てるべきだったのか、答えは分からない。
息子は親にも誰にも言えず死んだ方が楽だと思うほど一人で抱え込み思い悩んでいた。その理由が理由なだけに打ち明ける事は難しいと思う。
子の心境に敏感に反応できるよう普段から意識していきたい。

施設の青年トミーはベイツモーテルのノーマン君みたいでした。母親の歪んだ過度な愛情を受ける事で精神が壊れてしまう。
その子も母親を愛しているが母親の呪縛に苦しめられ、他の女性との関係に支障をきたす。ノーマン君も成長する度に症状が悪化し殺人鬼となってしまうので、今作のトミーも治療出来るか怪しいものです。
最後の息子と父親みたいな良い関係性から治ってくれる事を願います。
ベイツモーテルでは母親思いの心優しいノーマン君が悪気はないのに他人に理解されず徐々に狂っていき殺人鬼となる過程が恐ろしく面白い。可哀想な彼を何故か応援したくなる。洋ドラですがおすすめです。

トミーの父親が妻とトミーの関係性を目撃した時、殺害するほど激情する事なのかなぁと疑問でした。なんで?っと唖然とし、固まりそう。考える時間は必要でしょうけど殴り殺すまで行かない気がします。

優秀な心理学者にしては、なかなか上手くカウンセリング出来ていないですね。嫌な過去をほじくり過ぎてダメな方向にいった気がする。それほど心の問題は難しいという事なのでしょうか。もっと時間をかけて過去の出来事に対する今の捉え方を改めてさせた方が良いのでは?とワタクシ思いました。