このレビューはネタバレを含みます
雲の中を轟く雷鳴のおはなし。
関係という関係に身を縛られ、口を開けば現金な事ばかりの、全く醜い一家族。
彼らの情けなくてどう仕様もない姿には、末娘の清子(高峰秀子)同様、辟易してしまった。
しかしながら、やっぱり蛙の子は蛙なのだろう。
和装だろうが洋装だろうが関係なく、良くも悪くも、親子は親子なのだ。
そうして彼女たちの物語は、なんとも優しい締まり方で終わったが、しかし清子が見上げた天を貫いた"稲妻"はどうも気がかりである。
あれは単に、立ち込める暗雲を切り裂く、希望の兆しであったのだろうか。それとも、その後の彼女らを待ち受ける、凄惨な衝撃の予感であったのだろうか。
僕には、なんだか後者のように思えてならない。