イロカワ

アウト・オブ・ブルーのイロカワのレビュー・感想・評価

アウト・オブ・ブルー(1980年製作の映画)
5.0
 冒頭のあの惨劇からしてやっぱりデニス・ホッパーは映画がうますぎる。デニス・ホッパーが映画なのか、映画がデニス・ホッパーなのか。
 同録のセリフとアフレコのセリフで会話をさせる演出が最高だった。演技とは少し違う脳に響くようなデニス・ホッパーの言葉。信じられないほど不気味で不穏。あの場面の台詞をああいう演出にしたのは本当に天才的。
 重機で小屋を破壊したり、真冬の海でピクニックしたり、中上健次や柳町光男とのシンクロニシティを感じた。これはただの具体ではなく、もはや共通言語なのかもしれない。トラックと貧困と爆発は国境を超えて人を突き動かす。
 地獄みたいな話なのに、郷愁を感じるようにとても心地よい感覚を覚えた。家族が地獄とは言わないけど、だからってどこに向かえばいいのか。孤独と戦い、そして破滅していくだけの物語こそ映画であるべき。
イロカワ

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