たく

七月のクリスマスのたくのレビュー・感想・評価

七月のクリスマス(1940年製作の映画)
3.7
貧乏暮らしの会社員が同僚のイタズラによって巨額の懸賞金を手にしてぬか喜びする話で、結果的に貧困層が富裕層の鼻を明かす痛快なコメディになってた。「レディ・イヴ」や「殺人幻想曲」でプレストン・スタージェス監督が見せた軽妙な手腕が活きてたね。

多額の懸賞金が出るコーヒー会社の標語コンテストで1等を取ることを夢見るマクドナルド夫妻が、まだ当選発表もされないうちから懸賞金の使い道をあれこれとビルの屋上で語り合ってる。ここでちょっとサム・ロックウェル似のディック・パウエル演じるジミーが、根拠のない自信で妻のベティにマウンティングを取るのがイライラさせられた。ディック・パウエルって聞いたことあるなーと思って調べても出演作でピンと来るのがなく、そういえば「眼下の敵」の監督だったんだね。

懸賞金の夢に浮かれて仕事に手が付かないジミーをからかおうと、同僚が当選の電報を捏造することろから大変なことになっていくのが行き違いのコメディ展開で、嘘から出た誠みたいになるのが寓話的。ジミーが近隣住民にプレゼントを買い与えるシーンは明らかに富裕層と貧困層の対比になってて、プレゼントがどれもこれも大した品じゃないんだよね。ラストはコントのオチみたいな感じで、運命を予感させる黒猫が洒落てた。
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