悪魔の毒々タケシくん

ウルフクリーク 猟奇殺人谷の悪魔の毒々タケシくんのネタバレレビュー・内容・結末

2.2

このレビューはネタバレを含みます

色々なものを詰めこみすぎて、何だこりゃ映画だった。
冒頭三十分を「犠牲者一行の不必要なラブロマンス」で費やすのは、もはやB級ホラーのお約束であるため、まあいいとしても(よくない)、本編始まってからの「悪魔のいけにえ」テイスト、かと思えば突然始まる「激突!」などの、てんこ盛りスペシャルには目がまわってしまう。しまいには「これは実話を元にしてます」というテイストで締めくくる。そういえばすっかり忘れていたよ。
この"全部詰めこんじゃいました"感は、かの伝説的なZ級ゾンビ映画、「Z108地区 ゾンビ包囲網」を彷彿とさせる。

ストーリーの展開も行き当たりばったりかつ、ご都合主義なところが多かった。
主人公かと思われた女性は途中退場し、最終的に生き残る男はストーリーの本筋にほとんど関わってこない。一体誰に感情移入すればいいか分からない作りになっている。
そもそも主人公かと思われた女性は"かかし"にされはしたものの、まだ生きていたはず。その後、どうなってしまったのかを描いてもらわないと尻切れとんぼになってしまう。

ご都合主義なところは、挙げていけばキリがない。
ただ主人公一行の車が特別な理由もなく動かなくなったのは致命的だったと思う。
「悪魔のいけにえ」風ホラーでは、犠牲者一行が殺戮に巻きこまれていく動機づけが曖昧だと、その途端にリアリティが薄くなってしまう。
車が突然動かなくなった説得力のある理由づけはほしかった。

また、途中、女性キャラクターが何の唐突もなく建物の中に入っていき、殺人鬼が死体を捨てている穴に落ちるのも気持ちがいいほどにご都合主義だった。
監督はどうしても「悪魔のいけにえ」の冒頭シーンが撮りたかったのだと思う。

その他にも演出などで微妙なところがいくつもあったように思われる。

ただ、ここまで散々言ってきたが、「悪魔のいけにえ」大好き人間としては、楽しめる映画だった。
70年代南部風の絵にカンガルー(ワラビーだったかも)がいるのもオーストラリアならでわで素敵。

殺人鬼のおっさんも魅力的なキャラクターだったと思う。
犠牲者を着実に追い詰める強さや容赦のなさにもちゃんと理由づけがされていてよかった。