このレビューはネタバレを含みます
映画は体験なのだということが、改めてよく分かりました。
この作品はスコセッシ監督の映画体験を通して、私たちが監督お気に入りの名作を体験していくような導入になっています。監督の家族のルーツから始まり、幼少時代のエピソードを経て、当時の貴重な映像とともに、テレビ放送を食い入るようにみたというイタリア映画の紹介がされていきます。「8 1/2」の解説の件りは、私自身も大好きな映画だからかも知れませんが、特にすっごく好きです。
2枚組のDVDは、1枚目に
Part1 ネオレアリズモ、ロッセリーニ作品など
Part2 デ・シーカ作品など
2枚目に
Part3 ヴィスコンティ作品など
Part4 アントニオーニ作品、フェリーニ作品など
の解説が収録されていました。私のイタリア映画好きは、ヴィスコンティ監督作品とマカロニウエスタンがきっかけだったのですが、Part3はほぼヴィスコンティ監督作品の紹介で素晴らしく嬉しかったです。
大好きな作品ばかりでしたが、スコセッシ監督の解説でまた新たな魅力を発見することが出来たので、ぜひ再鑑賞してみようと思っているところです。
さて、「夏の嵐」の冒頭でヴェルディの「イルトロヴァトーレ」が上演される場面は、私もすごく印象に残っていました。実際のところ、イタリア映画好きが高じて時代を遡るうちにオペラに辿り着いたような部分もあるのですが、オペラを観れば観るほど、よりヴィスコンティ監督作品にハマっていくという不思議な相互影響的な感じがしています。
ちなみに昨今の研究ではリソルジメント関連の伝説に異論も唱えられているようですが、現実の世界でも、1855年スカラ座のあるミラノがオーストリアの支配下にあり、まさに映画のシーン(映画の舞台は、墺支配下のヴェネツィア)のように、ヴェルディの作品に感化された観客が「ナブッコ」の上演中にオーストリアに抗議するビラを撒いたとの記録があるそうです。
原作ではどうなっていたんでしょうね?ベースはカミロ・ボイドの原題(SENSO)と同名小説とのことですが、機会があれば読んでみたいのですが、難しいかもしれません苦笑。
なお、結末は検閲のために変えられたそうです。本来はどんなものだったのか、観てみたかったですね〜♪
イタリアオペラもイタリア映画もイタリアの歴史も、調べれば調べるほど深みに嵌っていって全く現代に戻ってこられません笑。層が厚いというか、文化そのものの長さとか重み
とか、計り知れませんね。
ビバイタリアの一言に尽きます♪
メモ
「揺れる大地」のアシスタントだったフランチェスコ・ロージ監督とフランコ・ゼフィレッリ監督
2024.3.3追記
カミロ・ボイドの原作(日本語です)を入手できました🤗読んでみたのですが非常に面白かったですし、映画監督ってやっぱりすごいんだなぁということ、そしてヴィスコンティ監督はすごい!ということなどなど、いろいろ分かりました。「夏の嵐」の内容になるので、詳しくはそちらの感想に書いておこうと思います♪